2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧

パンジー、ビオラ、三色すみれ

パンジーやビオラは今の季節、日本中で見ることができる。月並み過ぎて、食傷気味であるが、確かに鮮やかな色と多様な形は人目を惹きつける。 パンジーとビオラの違いは単に大きさの違いで、パンジーは花の大きさが5㎝以上、ビオラは3㎝以下。その上、中輪パ…

カンツバキ(寒椿)の花

カンツバキはツバキやサザンカなどに比べると、樹高が大きくならず、枝が横に伸びるため、私たちが葉や花を上から見下すことができ、しかも自然に形が整いやすことから、公園や歩道の植え込み、一般家庭の庭木として広く使われている。湾岸地域でもサザンカ…

えちご妙高にかかわる俳人たちを想う(1)

コロナ禍の正月を心穏やかに過ごすのは至難のことだが、じっくり故郷について考え、交わってみるのも過ごし方の一つではないだろうか。越後と信濃は我が故郷、湾岸地域が私の今の住まいとなれば、俳句を軸につながる人々は芭蕉、良寛、一茶、相馬御風、そし…

法的、政治的、そして道義的責任

27日に道義的責任について私見を述べました。三つの責任の間に軽重の違いがあるというのが政治家だけでなく、世間の通り相場のようです。責任の重さを計る信頼できる尺度も術もないのに、その責任の軽重を議論するとは何とも軽々しい所業で、いかにも世故に…

クスノキの実

クスノキ(樟、楠)は常緑の高木で、そのためか湾岸地域の街路樹としてよく見かける。別名はクス。私の大木像はケヤキとクスノキ。となりのトトロが住む巨樹はクスノキで、男性的なケヤキに対して、クスノキはどこか女性的である。10月から11月にかけて、青…

運河のカルガモとオオバン

江東区内には、小名木川をはじめ、江戸時代につくられた仙台堀川、竪川、横十間川などの運河があります。江戸時代はこれらを使って千葉県方面から塩や米などの物資を運んでいましたし、木場では材木を扱っていました。 明治以降も東京湾よりに多くのより大き…

道義的責任

前夜祭をめぐる問題で不起訴処分となった安倍晋三前首相は、それによって法的責任はなくなったと考え、「今般の事態を招いた私の政治責任は極めて重いと自覚している」、「私が知らない中で行われていたこととはいえ、道義的責任を痛感している」と何度か述…

芭蕉と一茶の世界

「不易流行」は松尾芭蕉が『おくのほそ道』の旅の間に体得した思想である。「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」、つまり「不変の真理を知らなければ基礎が確立せず、変化を知らなければ新たな進展がない」、しかも「その本は一…

キダチアロエの花

キダチアロエ(木立蘆薈)は冬に花をつける。湾岸地域ではどこでも見ることができ、ほぼ放置状態と言ってもいいだろう。観賞用や食用として栽培されていたアロエはこのキダチアオイで、キダチロカイとも呼ばれている。南アフリカ原産で、「木立ち」の名の通…

モクレン科の花芽

寒さの中でホッとするのがモクレン科の花芽で、見るだけで暖かさを感じてしまうのは私だけではないでしょう。 紫木蓮(シモクレン)も白木蓮(ハクモクレン)もモクレン属の樹木。ハクモクレンの花芽は大きく、長さ2cm~2.5cmの長卵形で、白色の長い軟毛に覆…

自然、不自然、反自然

コロナウイルスに感染することは自然なことなのだが、その感染を防ぐこともまた自然なことだと思われている。生死は大抵自然なものと自然でないものが混ざり合っていて、生まれることや死ぬことは時には自然なことであり、時には不自然、また時には反自然だ…

The Midnight Skyを観て、まず感じたこと

上映前から注目されていたThe Midnight Sky(直訳すれば、「真夜中の空」)が昨夜Netflixでスタートした。多くの人が観たに違いない。 髭のアウグスティヌスを連想させる老いた科学者オーガスティンと謎の少女アイリスの北極での共同生活と、木星の衛星K-23 …

雌雄異花同株のナンキンハゼ

ナンキンハゼは雌雄異花同株,つまり、花には雄花と雌花の違いがあり,同じ株に両方が咲きます。さらに、雄花と雌花が咲く順序により,雌花先熟株と雄花先熟株の二つのタイプがあります。一方、既述のイチョウやハマヒサカキは雌雄異株異花です。これらの工…

ナンキンハゼの種子

湾岸地域では街路樹や公園樹としてナンキンハゼ(南京櫨)がよく見られ、既に何度か報告しました。初夏に咲く黄色い花、秋に熟する緑の実、美しい紅葉は見事です。新緑は明るい緑で、夏以降もそれほど濃い色になりません。紅葉はオレンジから紫、赤など様々…

クロガネモチの雌の木の不思議

紅い実をつけるクロガネモチばかりが妙にたくさん植えられているのが湾岸地域で、今はあちこちでその紅い実を見ることができる。ところで、クロガネモチは既述のイチョウ、ハマヒサカキと同じように雌雄異株。赤い実をつけるクロガネモチが雌の木で、その雌…

冬至に彩りと平穏を

冬至は、地球から見た太陽の通り道である黄道上で、太陽の黄経が270度になる時刻を指し、今年は12月21日の19:02が冬至、またこの時刻を含む21日も冬至と呼びます。こんな風に説明されてもなんだかピンときませんが、北半球では冬至の日が一年のうちで最も昼…

本能と煩悩

仏教経典の主題は煩悩で、煩悩の詳しい分類や分析は聖書にはないもの。経典の描く煩悩概念が仏教世界の人生観や世界観を生み出してきた。経典が描く物語は荒唐無稽だと退けても、煩悩に関する記述は今でも通用している。「本能」は常識概念(folk concept)…

皇帝ダリアと辰巳団地

昭和の風景の代表の一つが団地であり、それが今でも現役の辰巳団地。皇帝ダリアだけでなく、今のマンションの狭い庭には見ることができない多様な樹木、草花、野菜が栽培され、業者の手になる造園、植栽とはまるで違った植生風景を見ることができる。そんな…

白色の情報

色には三つの属性(色相、明度、彩度)があります。色相は色の種類で赤、青等々です。色の明るさが明度で、明度が低いと暗い色、高いと明るい色です。彩度は色の鮮やかさのことで、彩度をもつのが有彩色で、赤や青の色味を持っています。 色味を持っていない…

小海老草と狐の孫

「狐の孫」、「小海老草」は動物に因んだ、変わり種の名前。名前も、外見も似ても似つかぬ二つなのだが、メキシコ原産の園芸種コエビソウ(小海老草)は、日本では道ばたに自生する雑草のキツネノマゴと同属なのである。 コエビソウという名前は花のつく穂が…

生きた化石

「生きた化石(living fossil)」は「生きた死者」によく似ているにもかかわらず、誰も矛盾した表現だとは思わない。それどころか、気の利いた表現だと思われている。さらに、「生きた」は「生きている」であり、化石も死者もかつて生きたものとなれば、「生…

二つのギリシャ哲学のその後

高貴で高邁なプラトンの哲学と合理的で科学的なアリストテレスの哲学とは水と油のように違います。二人の哲学の違いはその後のヨーロッパやイスラムの世界に大きな対立を生み出すことになります。 ローマ帝国の末期にはキリスト教が国教となり、新プラトン主…

ハマヒサカキの雌雄の花

昨日記したイチョウには雄と雌の木があった。それと同じように、常緑小高木のハマヒサカキ(浜姫榊)にも雌と雄の区別がある。 ハマヒサカキは湾岸地域でも街路樹や生垣としてよく見るのだが、花が咲く今の時期は独特の悪臭を放っている。雌雄異株で、当然な…

天心の六角堂

西洋は「理性的に誇示」し、日本は「内省し、謙遜」する。茶は経済学と同じで、「生の術」であり、具体化された道教である。こんな主張が『茶の本』の核心にある。 岡倉天心はお雇い外国人フェノロサと出会い、フェノロサの美術調査に随行。千年の眠りから覚…

黄葉したイチョウの落葉

イチョウ(銀杏)は中国原産の裸子植物。昔理科の時間にイチョウを例に裸子植物について習ったことが蘇ってくる。中生代から新生代第三期まで世界中でイチョウの先祖の化石が見つかっているが、100万年ほど前に化石は絶える。10~11世紀頃に中国南部で再発見…

素人のお経理解

お経(仏教経典)はその内容から三蔵に分けられ、(1)経(釈迦の教え)、(2)律(仏教徒の行動規範(戒律))、(3)論(経や律を研究・注釈したもの)の三つ。さらに、お経は教えの違いから、小乗経典(釈迦が直接弟子に説いた教えをまとめたお経)と大乗…

カリンの熟した実

近くにカリンの木が数本あり、大きな実を幾つもつけている。5月には実をつけ始めていたので、長い間木についたまま熟成され、誰も採らないためか、12月になっても黄色いまま残っている。何と半年以上実がついたまま。すぐ横にあるヒメリンゴの木も同じように…

初詣の好み

私たちの初詣は神仏習合というより、神仏混淆、宗派無視が当たり前で、私のような昭和の団塊世代には少々気になるところ。とはいえ、私自身、神社に参り、その足で寺に向かうという子供の頃の記憶がしっかり残っていて、物心ついて以来、ずっと神仏習合の世…

ボケ

ボケの花が咲いている。確か3月頃が開花時期で、呆けたのかと思ったら、開花時期は11月から翌4月頃までとわかった。11月頃から咲き出す花は春に咲くものと区別するために「寒木瓜(かんぼけ)」と呼ばれるらしく、その寒木瓜に遭遇したのだった。 実が瓜に似…

「忘れる」ことの断片的な諸相

何かを忘れることは私のような老人には日常茶飯事のことで、珍しいことではない。忘れることが常に身近で起こっていて、その真相を探るにはもってこいの位置にいる。そこで、忘れることを知ろうというのが認知症老人の企みである。 Xを忘れる、ものを忘れる…