柑橘類の識別

 真夏のうだるような暑さの中で、見事な緑の葉に見惚れてしまう。青空の中の緑もいいものだと思いながら、よく似た青い果実を見ると、どれもよく似ていて見分けなどまるでつかない。量子のように識別不可能かと言えば、そうではなく、それぞれ区別はできてもいずれの果実が何なのかがわからないという別の種類の識別不可能性である。見分けることがどうにかできても、それぞれがなんという種類の柑橘類なのかがまるで分らないという訳である。オリ・パラで来日中の人たちが日本人はみなよく似ていて区別できないというのによく似ている。

 種明かしをしておこう。順にハッサク、グレープフルーツ、ウンシュウミカン、そしてポンカンである。秋になれば、それぞれ区別ができるようになるのだが、真夏の今はそれぞれについての知識、情報から区別するしか手立てはなさそうである。それにしても、見事な緑色の果実で、どれも同じ色にしか見えない。

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ハッサク

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グレープフルーツ

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ウンシュウミカン

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ポンカン

 

ヘクソカズラ(屁糞葛)の花

 連日猛暑が続く中で、野草たちは元気そのもの。そんな夏の野草の代表選手がヘクソカズラで、アカネ科ヘクソカズラ属の、嫌われ雑草である。葉や茎に悪臭があることから屁屎葛(ヘクソカズラ)の名がある。植えるのではなく、どこからか種が飛んできて、勝手に生える植物で、生育は非常に旺盛。ヤブガラシカラスウリと同じようにどこでも逞しく茂る。湾岸地域でもあちこちで繁茂している。

 ヘクソカズラには「サオトメバナ」(早乙女花)という美しい別名がある。また、花の中心が画像のようにお灸を押しつけたような形をしていることから、ヤイトバナ(ヤイトはお灸のこと)とも呼ばれる。開花時期は、7月上旬から9月中旬頃まで。

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「アリとキリギリス」

 湾岸地域の歩道は舗装ブロックが多い。ブロックとブロックの間に僅かな隙間があり、夏にはそこにアリがよく巣をつくる。アリたちが忙しく動き回るのを見ながら歩いていると、緑色のショウジョウバッタに似た昆虫が足元に登場した。よく見れば、クビキリギリス

 キリギリスとバッタを見分けるには触覚と脚の長さで、いずれも短いバッタに対してキリギリスはどちらも長いと記憶を確かめながらも、思い起こすのは『イソップ寓話』である。元々は「アリとセミ」だったが、ギリシャにいたセミはヨーロッパ北部にはおらず、そのため話がキリギリスに改変された。日本に伝わった寓話は改変後のもので、「アリとキリギリス」で広まっている。夏の日本ではセミの方が子供にはわかりやすい。

 夏の間、アリたちは冬の食料を蓄えるために働き続け、キリギリスはヴァイオリンを弾き、歌を歌って過ごす。やがて冬が来て、キリギリスは食べ物が見つからず、最後にアリたちに乞い、食べ物を分けてもらおうとするが、アリは食べ物を分けることを拒否し、キリギリスは飢え死んでしまう。だが、これでは残酷だというので、色々改変されてきた。

 改変の理由はいくつか挙げられる。(1)困った人を助ける優しい人になるべきである、(2)後先を考えずに過ごすと後で困る、(3)幸せの尺度は人によって違う、と言ったものが主なものである。

 『イソップ寓話』の内容の変遷史は、ギリシャ思想とキリスト教思想が混濁していることがよくわかる。あなたなら「アリとキリギリス(あるいは、セミ)」をどのように改変するだろうか。

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ノシランの花

 「ノシラン」と呼ばれていても、ラン科ではなく、ユリ科。アジア原産で、海岸近くの林の中などに生える。湾岸地域でもあちこちに植えられているが、ノシランはグランドカバーとして使われていて、花壇や通路を埋める植物になっている。花は白い紐(ひも)状で、夏に開花。ひげのような葉っぱの中に、凛と立つ可憐で清楚な花の姿が美しい「熨斗(のし)」の形に似ているところからこの名前になったと言われている。

 ノシランが白い小花を咲かせるのに対し、ヤブランは濃い紫色の小花を咲かせる。細長い穂に直径4mmほどの小花をたくさんつけ、花の咲く時期はノシランとほぼ同じ。濃い緑色に白い斑入りの細長い葉は、ノシランの品種とよく似ている。

 ヤブランは花が咲いた後に黒く熟した実をつけるが、ノシランの実はコバルトブルーで、卵のような形で大粒である。それぞれの実については秋に確認してみたい。

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ヤブラン

 

クモ三種

 今年はクモを見る機会がすくない。多分オリ・パラのために公園や歩道の手入れが入念になされ、クモも十分に糸を張れなくなったのだろうと素人推理していたのだが、やっと昨日元気なコガネグモを見ることができた。安堵した気持ちになるのも奇妙だが、自然の姿の一端を確認出来てほっとした次第である。

 最初の画像はそのコガネグモで、「隠れ帯(白帯)」があることからまだ若いことがわかる。次がナガコガネグモ、最後がジョロウグモで、いずれも湾岸地域では普通に見ることができるクモである。ジョロウグモには黄色と青緑色が入り、赤い紋が入るのが特徴。コガネグモナガコガネグモに比べて黒や茶色の横縞の幅が大きい。いずれも大型のクモである(ナガコガネグモジョロウグモの画像は昨年のもの)。

 「昆虫」と「虫」を見分けるポイントは、頭、胸、腹に分けられるか、脚は3対かの二つで、クモは両方を満たさず、「節足動物門 鋏角亜門 クモ綱 クモ目」と分類されている。近縁なのはダニやサソリなど。クモを好きな人は少なく、嫌われているが、日本にいるクモで人間に悪影響を与えるものはほぼいない。

 女尊男卑がこれら三種のクモの世界。コガネグモの雄は触肢という生殖器官を1組だけ持ち、1回の生殖行為に触肢1本が必要であるため、最大2回しか交尾できない。コガネグモの雌は、交尾が10秒以上かかると、自分よりもはるかに小さい雄を食べてしまう。ナガコガネグモの雌雄の同居期間はお盆頃で短く、オスはメスの最終脱皮直後に求愛するが、メスに捕食される場合がよくある。ジョロウグモのオスはメスの半分以下の大きさしかない。ジョロウグモのメスは目が悪く、巣にかかったものは何でも食べてしまい、交配のために近づいたオスも気づかずに食べられる場合がある。なんとも不平等のクモ世界である。

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コガネグモ

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コガネグモ

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ナガコガネグモ

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ナガコガネグモ

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ジョロウグモ

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ジョロウグモ

 

トウテイランの花

 暑い中で妙に涼しい色の花が見える。近づくと、トウテイランの花が咲いている。その名前は、中国の「洞庭湖(どうていこ)」の湖面の藍色にちなんでつけられたそうである。「藍」は「らん」と読むので、「トウイテイラン」の名がつきましたが、胡蝶蘭のような蘭の仲間ではなく、トラノオの仲間です。

 トウテイランは海岸や海岸近くのマツ林にはえる高さ50~60cmの多年草で、全体に白色の綿毛が密にはえ、白っぽくみえます(画像)。葉は対生する単葉で、茎先に総状花序を出し、青紫色の花を密につけます。萼にも白い綿毛が密生し、果実は球形の蒴果です。

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モミジアオイの花

 モミジアオイは明治初期に渡来した北アメリカ原産アオイ科フヨウ属の宿根草植物。7月から9月頃までの夏の季節にフヨウによく似た大輪の赤い花を咲かせる。花がハイビスカスやタチアオイに似ているため、間違えやすいが、モミジアオイは花弁の根っこが細くなっていて、花弁の間に隙間が広くなるのが特徴(画像)。

 草丈は大きい物で2m近くになり、茎も草花としてはとても太くなる。名前の由来は、星形の葉の形がモミジに似ている事から付けられた。別名は「紅蜀葵(こうしょくき)」。

 モミジアオイは夏の間華やかに咲いてくれるが、葉の形が異なる「タイタンビカス」というモミジアオイアメリカフヨウとの交配種が生まれ、赤、ピンク、白などの花が見られるようになった。

*タイタンビカスはモミジアオイアメリカフヨウとの交配種で、大きな花をつける。アメリカフヨウは、北アメリカに分布するアオイ科フヨウ属の多年草。フヨウによく似ているが、フヨウが落葉低木の花木であるのに対し、アメリカフヨウは宿根草。「草のモミジアオイ」と「草のアメリカフヨウ」の交配種がタイタンビカス。

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タチアオイ

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ハイビスカス

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タイタンビカス