2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

越国(こしのくに)の変遷

大和朝廷側からみれば、頚城地方は蝦夷の領域への入り口にあり、そのため国境最前線として砦が築かれていました。6世紀に入ると大和朝廷の勢力が北陸に伸び、越後がその支配下に入るのは7世紀後半でした。 奈良時代には「久疋郡」(正倉院庸布)、「頸城郡」…

シシユズの実

子供の頃からユズは知っていたのですが、シシユズを知ったのは5年ほど前です。その形とサイズにビックルしました。画像は緑の実、色がつき出した実、そして、今頃の黄色になった実です。 シシユズ(獅子柚子)またはオニユズ(鬼柚子)はユズではなく、ブン…

コトネアスターの赤い実

コトネアスター(Cotoneaster)はバラ科の常緑低木。コトネアスターは、寒さに強く、果実や紅葉が美しく、公園や庭の樹としてよく栽培されている。ピラカンサに似ているが、葉の部分に鋸歯がなく、枝に棘が生えない。木の高さが高さ30~40cmで、枝は地を這い…

キク(菊)の花

先週久し振りに六義園を訪れたのですが、庭はまだモミジの葉の青が目立ち、秋の紅葉とは程遠く、ちぐはぐな風景でした。そんな中で入り口近くに飾られていた数種のキクは飾り気のないつつましい気品のあるものでした。 キクは外来種で、薬草や観賞用植物とし…

ボケとバラの花の色

ボケはバラ科ボケ属の落葉低木で、庭木や盆栽、生け垣、切り花として親しまれていますが、それ以上に人気のあるのがバラです。日本のバラの記述は既に『万葉集』に見られますが、ボケの渡来時期も平安初期以前であるとされています。 バラには品種によって一…

ネズミモチの黒い実

常緑樹のモチノキは日本庭園には欠かせない植木で、モッコク、モクセイと共に庭木の三大名木。葉柄と新しい枝が紫黒色を帯び、葉が乾くと黒い鉄のような色になるモチノキ(黐木)ということから「クロガネモチ(黒鉄黐)」と呼ばれますが、その実は赤く、今…

雪とスキーとレルヒ少佐

妙高では例年のことですが、雪が積もり出しています。私が雪で思い出すのはスキーとレルヒ少佐。オーストリアのレルヒ少佐(1869-1945)は日露戦争に勝利した日本陸軍を視察、研究するため明治43(1910)年に来日。翌年、13師団視察のため高田を訪れます。スキ…

ブーゲンビリアの花

ブーゲンビリアはオシロイバナ科ブーゲンビリア属に属する熱帯性の低木です。和名はイカダカズラ(筏葛)、ココノエカズラ(九重葛)で、蔓性あるいは半蔓性ですが、私には木にしか見えません。 原産地は中南米の熱帯雨林。花の色は赤から白まであり、画像は…

自来也、蝦蟇仙人、妙香山

古くから山岳信仰で知られる妙高(香)山には蝦蟇(がま)仙人が住むと言われ、江戸末期の浮世絵師歌川芳艶(うたがわよしつや)は「自来也妙香山の図」で、「越後国頸城郡高田妙香山(えちごのくにくびきぐんたかだみょうこうざん)」で自来也の蝦蟇と黒姫…

ヒメイチゴノキの実

果物のイチゴのような実をつけることからイチゴノキで、英語名はストロベリーツリーです。ツツジ科イチゴノキ属の植物は14種ありヨーロッパと北アメリカに分布しています。イチゴノキの原産地は地中海沿岸でアフリカ側はモロッコ、アルジェリア、西側はスペ…

トベラの種子

トベラ(扉)はトベラ科トベラ属の常緑低木。光沢のある濃い緑色の葉をもつことから、公園や街路によく使われています。「扉」と書いて、「とべら」と読みます。2月の節分に、この木の枝を扉にはさんで、邪鬼を払う風習があったため、「とびらの木」と呼ばれ…

『ふるさとの歩み わたしたちの斐太北』の補足説明

上記の冊子は2021年3月に妙高市の斐太北小学校区学校運営協議会によって刊行されました。冊子の年表部分はとてもしっかりできていて、斐太地域の歴史がよくわかります。いくつか重要な事柄があり、より詳しい説明があればさらに役立つと思われます。そこで、…

ナリヒラヒイラギナンテンの花

ヒイラギナンテン(柊南天)はヒイラギ(モクセイ科)とナンテン(メギ科)との交雑種ではない。ヒイラギナンテンは中国、ヒマラヤ原産で、中国で改良されたもの。ナンテンは秋から冬に赤い実をつけるが、雪の中の赤い実は私の子供の頃の記憶として今でも鮮…

ふるさと化し、脱ふるさと化する物語

様々な人々が日本に渡来し、彼らが知識、技術、思想、宗教などをもたらし、それらが国をつくる礎として利用され、奈良や京都を中心に日本の国造りが実行されて行きます。その建国の歴史には実に多くの外来のものが移入され、それらが巧みに組み合わされ、融…

ヤツデの花の知恵

大きな葉が目立つヤツデはウコギ科の常緑低木。ヤツデは日本の固有種で、湾岸地域にもあちこちに植えられ、花の少ない今の時期に花をつけ出しています。 分厚く光沢のある葉には長い柄と深い裂け目があります。葉の直径は20~40cmと大きく、「天狗の団扇(う…

ヒメイチゴノキの花

近くの公園に3m程のヒメイチゴノキ(姫苺の木)があります。今小さな釣鐘型の白い花がたくさん咲いています。花の形状は同じツツジ科のアセビに似ていて、色は白かピンク。もう少しすると実がつき始めます。実は緑色、黄色、そして赤色に変わって行きます。…

伝説の熊坂長範を描き直す「烏帽子折」と「熊坂」

熊坂長範の伝説から能へと芸能化される際に、人々は伝説の何に注目し、何を表現しようとしたのでしょうか。昔話や伝説が能や歌舞伎に作り変えられていく訳ですが、それを動機づけた人の思いが凝縮している筈で、そこに私たちは祖先たちの本性を垣間見ること…

カリンの黄色い実

近くのカリンは5月には実をつけ始めるのですが、長い間木についたまま熟成され、誰も採らないためか、今になっても黄色いまま残っています。何と半年以上実がついたままなのです。すぐ横にあるヒメリンゴの木も同じように赤く熟した実がついたままで、互いに…

児雷也が活躍する舞台と構図

妙高火山群地域には六つの火山が密集しています。飯縄、黒姫、妙高、焼山の各火山は約8km間隔でほぼ南北に配列され、斑尾山、佐渡山がこの列からはずれて聳えています。このうち、南北の一直線上に配列する妙高、黒姫、飯繩の妙高三山は、この火山群の中心的…

クサギの実

臭木(クサギ)シソ科の落葉小高木。いつもその実の瑠璃色に魅了されます。最初の画像は10月中旬のものです。葉に異臭があることからこの名がついたようです。甘い香りがする花は夏に咲き始め、花びらは萼から長く突き出してその先で開きます(昨年の画像)…

ヒマラヤユキノシタの花

「Himalaya雪の下」はヒマラヤ原産のユキノシタ科ベルゲニア属の耐寒性常緑多年草。明治時代に日本に渡来しました。地面を匍匐しながら伸びた太い根茎から、光沢のある大きな葉を出します。葉はロゼッタ状をしていて(画像)、一年中緑色をしています。冬か…

移入された物語の変容:ふるさと化と脱ふるさと化

人々が日本に渡来し、彼らが知識、技術、思想、宗教などをもたらし、それらが国をつくるために利用され、奈良や京都を中心に国造りが実行されて行きます。その建国の歴史には実に多くの外来のものが移入され、巧みに組み合わされ、融合され、時が過ぎていき…

コスモスの花

キク科のコスモスの花が秋に咲き、花弁の形が桜に似ているので、「秋桜」と書いて「コスモス」と読むようになったのですが、その理由は昭和52年に山口百恵の「秋桜」が大ヒットしたからです。作詞作曲はさだまさしで、曲のタイトル「秋桜」を「コスモス」と…

コウテイダリア、あるいはキダチダリアの花

コウテイダリア(皇帝ダリア)は学名の Dahlia imperialisを訳したもので、別名のキダチダリア(木立ダリア)は英語名のTree dahliaを訳したもの。それぞれ植物のサイズ、植物の茎の特徴から命名されていて、命名の仕方の違いがよくわかります。兎に角、高さ…

ふるさとの昔話の私流楽しみ方

黒姫伝説、戸隠、鬼無里、別所温泉の鬼女紅葉伝説、そして信濃町の熊坂長範伝説など、信濃には私たちの心を躍らす昔話がたくさん残っています。平地の続く、豊かな農村地帯と違い、森や山、池や沼が重なる里山、そして山岳地域は超自然の化け物たち、アウト…

ムラサキカタバミの花

カタバミ科には900を超える種類が含まれ、そのためか、湾岸地域の最もポピュラーな雑草の一つになっています。ムラサキカタバミは江戸末期に観賞用として移入され、本州〜琉球で野生化しました。観賞用に植えられたものが逸出した帰化植物です。カタバミの原…

ソヨゴの赤い実

ソヨゴ(戦、冬青)はモチノキ科モチノキ属の常緑樹で、山の尾根など乾燥地した場所によく見られます。波状の葉が風に揺れ、「そよぐ(音を立てる)」ことから命名されました。別名はフクラシバ。常緑樹の中では公園や庭の植栽に利用されることが多く、湾岸…

伝承から芸能へ:ふるさと化と脱ふるさと化

既に「伝承から芸能へ」というタイトルで小論を書きましたが、それを見直してみましょう。 私のふるさとである信越地方の言い伝え、伝承、民話などを探っていくと、神話が中心となる出雲文化の信越地方への伝播があり、その後に登場するのが妖怪や鬼、大泥棒…

イソギクの黄色い花

イソギク(磯菊)はキク科キク属の多年草で、磯の菊ということから「磯菊」の名があります。日本固有種の野生菊で、分布域は千葉県犬吠崎から静岡県の御前崎にあり、海岸の崖や岩場などに自生します。イソギクの栽培は江戸時代から始まっていて、現在では自…

雑談「熊坂長範」

(これまでの熊坂長範に関する文章をまとめたものです。) 熊坂長範は幸若舞、能、歌舞伎、御伽草子等々で取り上げられ、様々に語られ、演じられてきました。大泥棒の長範ですが、十か所以上の出身地があり、実在したかどうかはわかりません。私は古典芸能な…