2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

強制、決定、自由

(0)囚われの身でありながら精神は自由を保つという象徴的な例はソクラテスということになっている。当時は死刑を命じられても牢番にわずかな額を握らせるだけで脱獄可能だったが、「善く生きる」意志を貫き、亡命するよりも、死と共に殉ずる道を選んだとさ…

バイカウツギ(梅花空木)

一週間ほど前からバイカウツギの白い花が咲いていて、何とも涼しげで清楚な感じが漂っている。そのバイカウツギはアジサイ科の植物で、別名はサツマウツギ(薩摩空木)。落葉低木の一種で、南東ヨーロッパや小アジアが原産とされている。その名前の由来はウ…

旅と観光:快楽

今の日本は観光客が多い。とりわけ外国からの観光客が目立つ。観光は旅の一側面。故郷を離れる「旅」は、「生存の旅」、「命令の旅」、「楽しみの旅」があるが、観光とは自発的な楽しみの旅のことである。 「観光」の語源は中国の『易経』の「観国之光(国の…

キンシバイ

有明通りは木遣り橋を越すとキンシバイ(金糸梅)が両脇に植えられている。そのキンシバイが一斉に花をつけ出している。キンシバイはオトギリソウ科オトギリソウ属の半落葉小低木。中国が原産で、江戸時代に渡来。花の形が梅に似ていて、色が黄色であること…

ブラックベリー

ブラックベリー(Blackberry)はバラ科キイチゴ属に属し、木とその果実の両方を指す。狭義には栽培種セイヨウヤブイチゴ(西洋藪苺)のこと。米国中部が原産で、落葉半蔓。開花期は今頃で、 結実期は7月から8月上旬。果実は生のまま食べることもあるが、ジャ…

立葵の鶏冠から

私の「タチアオイ」にコメントをいただき、立葵の鶏冠の話になった。タチアオイが街中の庭や軒先に植えられていたのを懐かしく思い出しながら、鶏の記憶が蘇ってきた。昭和の30年代前後はまだ家畜が多く、豚、山羊、鶏などが飼われていた。我が家にも豚と鶏…

記憶の中の故郷

「昔のことを思い出す、想起する」という点から見るなら、記憶している内容について圧倒的に有利なのは自然環境のような長い間変化しないものである。山や海、川や大地は建物や動植物に比べると長い間変わらず、安定していて、記憶内容を変更する必要がない…

タチアオイ

和名のタチアオイ(立葵、ホリホック)は、まっすぐに伸びる姿からつけられています。2mくらいに伸びる長い茎に、花を穂状につけます。梅雨入りごろ、花穂の下から咲き始めて順々に咲き上がり、花が終わるころに梅雨が明けます。多数の園芸品種があり、花形…

外来生物(と外国人)

「外国人」は生物学的な概念ではありませんが、「外来生物」も同じように生物学的な概念ではなく、私たちの生活世界の概念です。 日本は国をつくる際に多くの外国人や外国の文化、思想の助けを借りました。大和朝廷が仏教を礎にして国をまとめ上げ、以後も仏…

ウサギノオ

ウサギノオ(兎の尾)は、イネ科ウサギノオ属の一年草。園芸用に栽培され、それが路傍で野生化している。別名のラグラスとは「野うさぎの尻尾」という意味である。 ウサギノオは地中海沿岸原産の一年草で、日本では千葉・神奈川・静岡等で帰化が確認されてい…

「嘘しかつかない」ことを巡って

真理を考える際に出てくる基本概念の一つが「真、偽(true, false)」です。真、偽とは言明の真偽のこと、つまり「ある文が真である、偽である」ことです。では、真でも偽でもない、いわば中間の真理値をもつ言明はあるのでしょうか。真とも偽とも判定できな…

アザミゲシ

アザミゲシの別名はメキシカンポピーで、メキシコ原産の一年草。日本には江戸時代に渡来しました。草丈は50~60㎝で、茎は直立して上の方で分枝し、葉はつややかで白い斑点が入り、鋭い刺があります。花は今頃から夏にかけて、艶のある鮮黄色の6弁の花をつけ…

地球温暖化をもたらすものとはばむもの

(週末の暇な時間の夢想のために) 「生物多様性」と並んでよく登場するのが「地球温暖化」です。どちらも半科学的概念です。地球環境の未来について科学的に信頼できる予測がなされるとは、地球環境を解明し、部分的であれ私たちがコントロールできることで…

ジギタリス

ジギタリスは、ベル形の花を穂状につけ、すらっと優雅に花茎を伸ばす。その姿はとても妖しくエレガントで、うっとりしてしまうのですが、全草に毒性があり、また薬草としても有名でした。ヨーロッパでは暗く寂れた場所に繁茂し、不吉なイメージをもつ植物と…

ヤマボウシ

ヤマボウシは中国、朝鮮半島、日本の本州から琉球列島に分布する。同じ属のハナミズキに比較すると開花時期が遅く、葉が出たあとで枝先に開花するので、サクラのように華やかではないが、近縁のハナミズキ(アメリカヤマボウシ)と共に花木として好まれ、私…

ライチョウとの距離

「馴染みのないものを好きになるのは、危険なものを嫌いになるより遥かに難しい」 二日間に渡ってライチョウに関する実践的な保護活動を中心に幾つかの資料、文献を紹介してきた。文献を読むのは苦手という向きには退屈だったことだろう。今日は私たちが普通…

プリペットあるいはプリベット

我が家の周りは集合住宅ばかりだが、その庭や歩道、さらには公園のあちこちに植えられているのがプリペット。今人気の植え込みと言ったところで、そのプリペットが花をつけ出している。プリペットは中国やヨーロッパを原産とする常緑低木。軽やかな印象の葉…

ライチョウを知る

(昨日のものを補充したもの)上野のライチョウ 上野動物園でもライチョウが飼育され、見ることができると述べました。ライチョウの絶滅を恐れ、保護を訴える人たちには、これは青天の霹靂に思えるのでしょうが、一体どのような理由、経緯で飼育されることに…

センダン

東京メトロの豊洲駅から豊洲新市場に向けて歩いていくと、歩道に4、5mの木が並び、今その木に花が咲いている。それがセンダン(栴檀)で、センダン科センダン属に分類される落葉高木。別名はオウチ(楝)、アミノキなど。 樹高は15mにもなり、成長が早い。若…

まずはライチョウを知ろう

上野のライチョウ 上野動物園でもライチョウが飼育され、見ることができると述べました。ライチョウの絶滅を恐れ、保護を訴える人たちには、これは青天の霹靂に思えるのでしょうが、一体どのような理由、経緯で飼育されることになったのでしょうか。それを丁…

マツバウンラン

マツバウンラン(松葉海蘭)は、ゴマノハグサ科の一年草、あるいは二年草。葉の形が松葉、花がウンランに似ているのがこの名前の由来。北アメリカ原産の帰化植物で、京都の伏見で1940年代に最初に確認され、翌年には初めて採集された。現在では北関東、北陸…

命名まつり

概念、普通名詞、自然種(Natural kind)、ステレオタイプ、パターン、形、形態等、いずれも認識を単純明解にする工夫であると考えられます。どれも一種のマニュアルで、当てはめるだけで機械的に判断できる手立てになっているのです。見ているもの、聞いて…

ムラサキツユクサ

ツユクサ科ムラサキツユクサ属に分類される多年草。北米から中南米にかけて約20種が分布し、日本には明治時代に入ってきました。ムラサキツユクサは梅雨の中で大きな3枚の花弁を優雅に広げるのですが、今年は既にしっとりと美しい花を咲かせています。園芸種…

岡倉天心と河鍋暁斎:異なる役割

2007年は地域振興策の一つとしてバルビゾン村構想があった頃で、岡倉天心と河鍋暁斎の子孫の対談が妙高で行われた。この構想はその後すっかり消えてしまうのだが、天心と暁斎の組み合わせには二人のお雇い外国人が関与していて、これら二人を抜きにしては彼…

ブラシノキ

ブラシノキ(ブラシの木)はフトモモ科ブラシノキ属の常緑小高木。カリステモン、ハナマキ(花槙)、キンポウジュ(金宝樹)が別名である。オーストラリアが原産。周りの公園や庭では今頃開花し、目を楽しませている。赤い花はブラシのように見える。その花…

観光暴論

(子供の頃に祖父母から温泉地の人たちは土地を耕さない人たちだと刷り込まれた友人が酒を飲みながらいじけて吐いた暴言で、真面目に受け取ることなかれ。) 観光は人の好奇心と欲望を金と時間を使って満たすもの。観光による癒しという心的快楽の充足は文化…

オオキンケイギク

久し振りに荒川の河口、新木場4丁目辺りを走った。と言っても、最近は走るのと歩くのが同じ程度の比率になっていて、散歩と大差なくなっている。今はオオキンケイギク(大金鶏菊)が花盛りで、堤防の土手一杯に見事に咲き乱れている。オオキンケイギクはキク…

シラン

シラン(紫蘭)は、ラン科シラン属で、野生のものは何と準絶滅危惧種。だが、栽培品として広く普及していて、今はあちこちに赤紫色の花を咲かせている。ラン科の植物には珍しく、日向の畑土でも栽培でき、観賞用として庭や公園に広く植えられている。とても…

The Ideal Museum of Myoko

かつてバブル期に美術館や博物館が多数つくられた。だが、今や状況は一変し、「妙高市にはまともな美術館や博物館が一つもない」と嘆き悲しんだとしても、美術館や博物館という箱物をつくることには誰も賛成しない。理由は明々白々で、市民の日々の生活が文…

スモークツリー

スモークツリーはウルシ属に近い落葉樹で、ヨーロッパから中国に分布する。雌木の枝先につく花序は長さ約20cmで多数枝分かれし、遠くから見ると煙がくすぶっているように見える。雄木は花序が短く、煙状にはならない。 スモークツリーは、初夏になるとピンク…