2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ペイリーの試み:デザイナーとしての神

ダーウィンの登場までは生き物の起源とその適応は科学的に説明されず、全知全能の創造主のデザインに帰されていました。神はすべての生き物を造り、見ることができるように私たちの眼をつくり、水中で息ができるように魚にえらを与えました。ですから、神はc…

ヘレボルス・フェチダスの花

ヘレボルス・フェチダス(Helleborus foetidus)は常緑多年草、クリスマスローズの仲間です。ヘレボルス・フェチダスは茎が立ち上がる有茎種で、緑色を基調としたベル形の丸みのある花をつけます(画像)。その別名がコダチクリスマスローズ。フェチダス(fo…

サンシュユの花

ミズキ科の落葉小高木サンシュユ(山茱萸)が春を告げるように咲き出しました。ハルコガネバナ、アキサンゴ、ヤマグミとも呼ばれ、中国と朝鮮半島が原産地です。享保年間(1720年頃)に薬用樹として日本へ渡来。ウメやマンサクなどとともに春一番に葉より先…

時間はあるのか、あるならどこにあるか?

「時間が流れる」という表現は単なる比喩的表現で、時の流れを感じるのは錯覚に過ぎないのか、それとも感覚レベルだけでなく、時間は実際に連続的に変化しているのか。4世紀の哲学者アウグスティヌスは、『告白』の第11巻で、「過去はもはや存在せず、未来は…

ビオラの花たち

冬の間ずっと花をつけているのがパンジーとビオラ。2月末でも元気に花をつけている。ビオラとパンジーの区別はかなりいい加減で、花径5cm以上をパンジー、4cm以下をビオラと呼ぶようだ。ビオラの品種は、1980年ころまでは数種に過ぎなかったが、現在は実に…

ハーデンベルギアの花:マメ科(2)

マメ科のハーデンベルギア(Hardenbergia violacea)はヒトツバマメ属の観賞用の園芸品種で、茎はしばしば、2mに伸びます。オーストラリア東部が原産です。蔓性で、長さは2メートルを越えて伸び、他の植物に絡まります。 3月から5月ごろ、「えんどう」に…

ヤハズエンドウの花:マメ科(1)

マメ科のヤハズエンドウは日本中で見ることができます。繁殖力が強く、あちこちに自生しています。画像のように茎には巻きひげがあるのが特徴で、周囲の植物に絡みつくことができます(画像)。別名のカラスノエンドウ(烏野豌豆)は中国名の「野豌豆」から…

A君の要約:シンプルな古典的世界観と確定性原理を超えて

私たちの生活世界を支えてきたのが古典的世界観で、それは古典力学が成り立つ世界が私たちの世界だと主張しています。質点(point mass)とその連続的運動からなる古典力学をモデルにしたのが古典的世界観で、素朴実在論や直接実在論と両立するものです。 古…

ミモザの黄色の花

ミモザはギンヨウ(銀葉)アカシア(Acacia baileyana)とも呼ばれ、マメ科アカシア属の常緑高木です。葉が銀緑色のため「銀葉」。 ミモザはオーストラリア原産で、明治末期に渡来。春早くに株を覆うほどの黄色い花を咲かせ、とても印象的です。よく似た仲間…

椿の季節

今年もツバキが咲き始めました。ツバキはCamellia japonicaの原種であるヤブツバキの印象が強いため、濃紅~紅色~淡紅色の花が浮かんできます。では、白いツバキが少ないかというと、決してそのようなことはなく、白玉、白獅子、初雁、臘月などの品種があり…

傍若無人のお墓無用論

釈迦は弟子に遺骸の取り扱いを問われ、「遺骸の供養など考えず、真理追求に専念すべし」と答えました。飛鳥時代に仏教が日本に伝来し、鎌倉時代には庶民層にまで広まり、庶民の間で仏式の葬儀が行われ始めます。さらに、檀家制度は人に一つの寺院の檀家とな…

クロッカスの花

クロッカス・トマシニアヌス(Crocus tommasinianus)は春先に花を咲かせます。花の色はライラックから濃い紫色まで様々あります。クロッカスはブルガリア、ハンガリー、アルバニア、旧ユーゴスラビア原産の多年草です。開花時期は晩冬から春で、個々の花は…

白梅の花

あちこちに梅の花が咲き、花の匂いが香ってくる。梅なら菅原道真、道真となれば九州太宰府天満宮。それに対して東の宰府(さいふ、大宰府の略)は「亀戸宰府天満宮」。昭和11年に現在の「亀戸天神社」となった。残念ながら、現在の東京での梅の名所ランキン…

ジンチョウゲの花

ジンチョウゲ(沈丁花)の原産地は中国南部で、室町時代にはすでに日本でも栽培されていたらしい。クチナシ、キンモクセイと共に「三大香木」あるいは「三大芳香花」とされている。ジンチョウゲは雌雄異株だが、日本にある木はほとんどが雄株。開花時期は2月…

ハコベの花たち

「ハコベ」と「ハコベラ」の違いは古い名前か新しい名前かの差で、ハコベの古い名前がハコベラ。また、一般的に「ハコベ」はコハコベを指すことが多く、春の七草のハコベはこのコハコベです。また、ミドリハコベという似た植物もあります。コハコベ、ミドリ…

植物の不思議:その発生と成長

生き物を仕分けるとなれば、ほぼ誰もが動物と植物に分ける筈です。この反射的な分割が私たちの「常識」なのですが、今の生物分類によれば、まず真正細菌と古細菌からなる原核生物と真核生物に分けられ、その真核生物の中に植物と動物があり、その他に原生生…

ヤブコウジの赤い実

ヤブコウジ(藪柑子)はサクラソウ科ヤブコウジ属の常緑の小低木。「藪柑子」は「藪に生える柑子(ミカン類)」という意味で、冬に赤い果実をつけます。別名が十両(ジュウリョウ)。 『万葉集』では「山橘(ヤマタチバナ)」と呼ばれ、古くから日本人に愛さ…

ミツマタの花たち

今私の周りではジンチョウゲ(沈丁花)の花が咲き出し、強い香りがしている。その沈丁花の仲間がミツマタ(三椏)で、沈丁花ほどではないが、あちこちに咲いていて、その花はやはり春を告げている。ミツマタは中国、ヒマラヤ地方が原産で、名前の通り枝が三…

サルココッカの花の香りを愛でる

既にサルココッカについて記したのだが、香りが強く、花より先に香りに気づくのがサルココッカ。歩いていると香りに気づき、それを味わい、次に見える花は小さく白く、常緑の緑濃い葉が光っている。そんな花と葉を持つサルココッカの香りは私を暫し立ち止ら…

カンヒザクラの緋色の花

カンヒザクラ(寒緋桜)はヒカンザクラ(緋寒桜)、タイワンヒザクラ(台湾緋桜)とも呼ばれ、紫にも近い濃紅色で、中輪の花が特徴的な品種です。花の咲き方は半開で、鐘状の下向きで、花びらは散らずに、ツバキの花のように萼(がく)の付いた花ごと落下します。小…

ダリアの画像から:通時的な変化と共時的な相違

同種の個物の違いは「個体差」と呼ばれる。人なら「個人差」で、大抵の生き物には不可欠のものである。一方、子供と大人が異なるように、成長に伴う違いも大抵の生き物に必要なもの。それらは「共時的な違い」と「通時的な違い」などと呼ばれてきた。 冬なの…

変化を知る

(3)連続性と無限 連続的な運動変化、つまり、スムーズで途切れることのない運動変化はどのような変化なのでしょうか。自然の運動変化の基本的な特徴は連続的変化にある、と思われてきました。でも、この感覚的に明らかな特徴を非感覚的に理解しようとする…

フクジュソウの春

フクジュソウ(福寿草、献歳菊)はキンポウゲ科の多年草。「フクジュソウ」は狭義にはエダウチフクジュソウを指し、広義にはエダウチフクジュソウ(Adonis ramosa)、ミチノクフクジュソウ(Adonis multiflora)、キタミフクジュソウ(Adonis amurensis)、…

ミニアイリス再訪

既に2月8日にミニアイリスの花を記したのですが、冬枯れの花壇の端で芳香のある花をつけています。和名はコマチアヤメで、高さが7~15センチほどの矮性アイリス。 ミニアイリスの一つがイリス・レティクラータ(Iris reticulata、画像)で、コーカサス山脈周…

変化を知る

(2)花の時間的な変化 飛翔する鳥が連続的に運動していると私たちが見る理由は一体何なのか。ここでは花の時間的な変化を取り上げてみましょう。一輪の花が咲き、それが終には萎んでいく時間的な変化は運動変化と同様、時間の連続的な経過を通じての変化と…

シクラメンの花を見る

4日前に下向きに咲くシクラメンの花について記しました。花が咲くのは受粉のためですが、植物はそのために虫や風を巧みに利用せねばならず、魅力的な香りや花色に工夫を凝らし、適応してきました。シクラメンが咲くのは雨季の時期。シクラメンが上向きの花を…

早春のツバキの花たち

サザンカやカンツバキの花に飽き出し、ツバキの花を待っていた人たちにはその花を愛でる時期になっています。それにしても湾岸地域にはサザンカだけでなく、カンツバキやヤブツバキが数多く植えられています。いずれも常緑で、冬に花をつける木は少ないため…

変化を知る

(1)諸行無常、生々流転、万物流転、そして絵巻物 「諸行無常」は『平家物語』が主張する仏教の教義、世界観。「生々流転」は岡倉天心の高弟横山大観の大作のタイトルで、長さは40mを越える(東京国立近代美術館蔵、*を参照)。「万物流転」となれば、ギリ…

サルココッカ:カタカナ名の別の例

サルココッカ(Sarcococca confusa)も和名はなく、カタカナ表示のツゲ科の常緑低木です。いい香りが漂い、よく見れば、サルココッカの花が咲いていて、その香りです。葉は濃い緑色で、光沢があり、冬の緑が魅力的です。花は小さく、白色で、早春に咲き始め…

ウエストリンギア

マルバ スボバータ(Malva subovata)の和名が見つからず、カタカナ読みにしたと述べましたが、それとよく似ているのがウエストリンギア(ウエストリンギア属の総称で、例えば、Westringia fruticosa、ウエストリンギア フルティコーサ)です。 ローズマリー…