2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧
「紅葉狩り」は秋の野山を散策しながら、赤や黄に染まった木々を見て楽しむことです。茸を採ることを「きのこ狩り」、海岸で貝を掘ることを「潮干狩り」といいますが、「紅葉狩り」も似た表現です。そして、古くからある紅葉伝説は戸隠、鬼無里、別所温泉な…
タケニグサ(竹似草、あるいは竹煮草)はケシ科の多年草で、湾岸地域でもあちこちに繁茂しています。とはいえ、空き地が次第に減り、次第にその個体数は減っています。「タケニグサ」の名は茎が中空で竹に似ているから「竹似草」、あるいは、竹と一緒に煮る…
ススキ(芒、薄)は尾花(おばな)、茅(かや、萱)とも言われ、秋の七草の一つ。また、「枯れ尾花、枯れすすき」もほぼ同義のように使われています。秋艸道人会津八一の句に「嫁とりし狐が顔や枯尾花」がありますが、「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という句…
石田三成の子孫について、A君は次のようにメモした。「関ヶ原合戦に敗れた石田三成の嫡子重家は徳川家康に助けられ、出家し、次男重成は津軽信建に匿われ、子孫の杉山氏は津軽藩士として存続した。また、三成の娘辰姫は秀吉没後に高台院の養女となり、弘前藩…
キク科のイガオナモミ(毬葈耳)はアメリカ大陸原産で、戦後に日本に帰化しました。茎は良く分枝し、短い棘が有ります。雌雄同株、雌雄異花の両性花で、葉腋から出る花序の上部に数花の雄花を、下部に雌花をつけます。花の後にできる果実(果苞)が熟すと、…
ニシキギ科のマユミ(檀、真弓、檀弓)の別名はヤマニシキギ(山錦木)。マユミは山地に自生するニシキギ科の落葉樹。近くの植え込みのマユミが薄赤い実をたくさんつけ、それが裂けて、暗い赤色の種子が顔を出している(画像)。ニシキギやマサキのように四…
ジョロウグモのメスは産卵のために卵嚢(らんのう)をつくります。産卵し終えても、そこから離れることはありません。自分の脚をしっかりと糸に絡ませ、卵を守り続けます。卵を産み終えたメスは、膨らんでいた腹が萎み、すっかりその姿が変わっています。や…
トベラは雌雄異株で、その花期は4 - 6月。私が二つの株を見比べる限り、実のつかない雄株の方が葉の色が濃く、雌株の葉の緑色は薄い。湾岸地域にはトベラが多く、そのトベラが今の季節になると、驚くような姿を見せる。その姿を見ていると、リンネの分類学の…
黄色と黒のストライプ状のクモのクモ糸は細くて色まではわかりにくいのですが、仄かに金色が浮かび上がってきます。秋口から初冬に目立つジョロウグモは特に強い金色の糸を紡ぎ、英語ではGolden Orb Weaver (金色の円網を紡ぐもの)と呼ばれています。金色の…
見事に枝を伸ばしたアメリカフウ(モミジバフウ、紅葉葉楓)の様々な紅葉が広い公園の中で空まで伸び上がっている。晩秋の青空の中で多彩な色が競い合い、キャンバスに塗り込まれたようにせめぎ合っている。北米原産のアメリカフウは日本には大正時代に渡来…
足元の紅葉から頭上の紅葉までをほぼ同時に味わえる機会など滅多にあるものではないが、何の偶然か、三つの植物が隣り合わせにあったことで私は望外の紅葉景色を味わうことができた。 背の低いドウダンツツジの生垣が真っ赤に紅葉している。湾岸地域には様々…
キク科のハキダメギクは北アメリカ原産。大正時代に東京で見つかり、現在では関東地方以西に広がっています。茎は2分岐を繰り返し、高さ15〜60cmになります。葉は対生し、卵形〜卵状被針形で、波状の浅い鋸歯があります(画像)。頭花は直径5mm程で、まわり…
クスノキ科のクスノキ(樟、楠)は常緑樹で、花の後にできる緑色の実は11月には黒紫色に熟します(画像)。中には種が一粒入っていて、ムクドリやカラスなどの餌となります。樟脳のような香りがあって人には美味しくありませんが、小鳥たちの好物で、種が遠…
バラ科のビワで誰もが想像するのは果物で、その食べ頃は初夏。晩秋に花をつけ始めるビワはへそ曲がりで、天邪鬼。だが、サザンカやツバキ、そしてボケも同じ頃に花をつけ始めるので、少数派だが、異端児という程ではない。「ビワ」の語源は葉や実の形が楽器…
イソギク(磯菊)はキク科キク属の植物で、既に何度も記してきました。誰も注目しないのですが、よく見ると、二つの画像が違うことに気づくはずです。実際、全体の印象も異なります。画像の違いは何なのでしょうか。 磯の菊ということからイソギク(磯菊)の…
西條八十は童謡や御伽噺の古今東西の常套手段を巧みに用いて、大人が考える子供世界を十分に描写しながら、彼独自の童謡世界をつくり出している。ただ、その世界は極めて優等生的な世界で、模範的な少年少女の世界になっていて、それは閉口だと言うのがA君の…
ハマヒサカキは湾岸地域でも公園の生垣としてよく見るのですが、花が咲く今の時期は独特の悪臭を放っています。雌雄異株で、当然ながら雄株には雄花が咲き、雌株には雌花と実がついています。花は下向きに開き、雄花の方が大きいサイズです(画像)。花弁は5…
北海道に多いハマナスはバラ科の植物で、プチトマトによく似た実はローズヒップと呼ばれ、ビタミンCを豊富に含んでいます。ビタミンCがなんとレモンの60倍もあり、ハーブティー、ジャム、スキンケアオイルの材料として用いられます。利尿作用、発汗作用、血…
ダリアはキク科ダリア属の総称で、和名は花の形がボタンに似ていることからテンジクボタン(天竺牡丹)。メキシコが原産で、その後1842年にオランダから日本に渡来し、昭和期には家庭の庭先を飾る夏の花として普及しました。メキシコ国花のダリアは耐寒性多…
昔から童謡の歌詞には意味が明瞭でなかったり、謎めいていたりして、それが逆に童謡がもつ特異な世界を醸成してきました。とても古く、意図が明瞭な例が「いろは歌」です。 「いろは歌」 いろはにほへと ちりぬるを(色は匂へど散りぬるを) わかよたれそ つ…
モチノキ科のイヌツゲ(犬黄楊)は見た目だけでなく、名前もツゲとよく似ているため、同じ仲間と思われがちですが、ツゲはツゲ科で類縁関係はありません。ツゲはたいへん成長が遅く、緻密でなめらかなため、ツゲ材として櫛や印鑑の材料となるのに対し、成長…
キクは7~8世紀に中国から渡来しましたが、バラは日本に自生していました。バラの先祖を辿っていくと、アジアから日本にかけての自生種8種類に行きつきます。バラの原種のうちの3種類、ノイバラ、テリハノイバラ、ハマナスは日本原産です。 キクの花には日本…
ノースポールの和名はカンシロギク(寒白菊)で、キク科フランスギク属の半耐寒性多年草です。ノースポールは高温多湿に極端に弱く、日本では一年草です。ノースポールの名前は花が真っ白に覆うように見え、それが北極を連想させるからのようです。「ノース…
アフリカキンセンカ(金盞花)は鮮やかな黄色やオレンジの花が人気の一年草で、ディモルフォセカとも呼ばれています。一方、アフリカンデージーはオステオスペルマム。アフリカキンセンカ属とオステオスペルマム属は姿がよく似ていて、品種改良を目的とした…
秋に入り、紅葉の中で柿の実が色づいている。今年の柿はなかなか美味しい。そんな中で、「四川常磐柿」と書けば、中国四川省原産の常緑の柿と誰もが推測する筈である。シセントキワガキはカキノキ科カキノキ属で、庭木や盆栽として使われるロウヤガキに似て…
私の知る限り、湾岸地域のホトトギスの大半はタイワンホトトギスの園芸種です。今年はそのタイワンホトトギスの花を楽しむ間もなく、いつもより早く終わってしまいました。日本のホトトギスとタイワンホトトギスとの大きな違いは、花の付き方です。タイワン…
道端で陽の光を浴びて、まだ元気な花姿を見せているのがメランポディウム(Melampodium divaricatum)で、見ている私の方も元気になってきます。メランポディウムはメキシコから北米が原産のキク科メランポディウム属の一年草で、春から秋にかけて花茎頂上か…
キンカン(金柑、Citrus japonica)はミカン科ミカン属の常緑低木で、キンカン属の常緑低木の総称でもある。別名はキンキツ(金橘)。果実は小粒で甘酸っぱく、ほろ苦い後味が残る。 キンカンはミカン科の果実だが、果皮のまま食べることができ、皮を捨てて…
博物学(Natural history)の東西を振り返ってみましょう。体系化を第一義に考えたリンネ(『自然の体系(Systema Naturae)』)と、記載を中心に考えたビュフォン(『一般と個別の博物誌』)は実に対照的で、静的な「自然の秩序」(リンネ)から動的な「自…
ランタナ(Lantana camara)はクマツヅラ科の常緑小低木。ランタナ属は中南米・南欧原産の150種ほどの低木・多年草を含めた植物で、熱帯や亜熱帯に広く野生化しています。日本では観賞用に栽培され、和名は「七変化」。その和名の通り、花の色が変化する不思…