ジョロウグモの優れた能力

 黄色と黒のストライプ状のクモのクモ糸は細くて色まではわかりにくいのですが、仄かに金色が浮かび上がってきます。秋口から初冬に目立つジョロウグモは特に強い金色の糸を紡ぎ、英語ではGolden Orb Weaver (金色の円網を紡ぐもの)と呼ばれています。金色の網を持つ利点は紅葉時期に遠くから見た際、カモフラージュ効果が高くなることや、黄色系の色が昆虫を誘引しやすくなることなどが挙げられています。

 画像上部の小さなクモはオスで、メスの網にこっそり入り込んで、交接の機会をうかがっています。オスはメスに比べて非常に小さく、体は褐色でメスのように目立ちません。オスのクモの体が小さいのは、その方が移動しやすく、遺伝子を広げやすいからです。糸を送り出し、風に乗せて別の地点に着地させ、そこへと渡るという架橋の技能は小さなオス程優れています。架橋をより効率的に行なうことによって、受け入れてくれるメスにたどり着くことができ、交接の機会が多くなるのです。

 ジョロウグモの産卵はもっと興味深いのですが、それは次の機会にします。