2024-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ベロニカ(Veronica)の多様さの意味

オオバコ科クワガタソウ属に分類される多年草の総称がベロニカ。原産地はヨーロッパ~アジアにかけて200~300種が分布し、日本でも20種ほどが自生する。 インカナ種のベロニカの別名は「シルバー・スピードウェル(silver speedwell)」で、種小名のincanaはラ…

カリンの青い実

バラ科のカリンは中国原産で、江戸時代に渡来。カリンは樹皮が独特の斑模様をしていて、ピンク色の花が美しく、大きな果実がたくさん実る。5月には実がつき、11月には黄色く熟すが、青いままの期間が長く、夏の間青い色が変わらない。熟した果肉は、薄い黄色…

セミの声と夏

私の記憶の中の夏はセミの声と重なっていた。「シャシャシャ…」、「センセンセン…」と鳴くのがクマゼミで、午前中そのクマゼミの鳴き声が妙に目立つのが今年の湾岸地域で、午後にはお馴染みのミンミンゼミやアブラゼミの鳴き声が聞こえてくる。 セミの鳴き声…

ヒメハラナガツチバチの吸蜜の姿

ツチバチ科のヒメハラナガツチバチは普通に見られるツチバチで、いろんな花にやってきます。オスには胸背部(=背中)に黄色の黄色い斑紋がありますが、メスにはありません。また、メスはオスより触角が短いので、画像はメスです。オスが体長11~19mm、メス…

クマバチと花

「クマバチ」はミツバチ科クマバチ属のハチを指し、普段クマバチと呼ばれているのはキムネクマバチです。クマバチとスズメバチはどちらも「クマンバチ」と呼ばれることが多く、よく混同されますが、獰猛なスズメバチと違って、クマバチは温厚で、ずんぐりし…

ヤマハギの花

湾岸地域にはマメ科のヤマハギ(山萩)やミヤギノハギ(宮城野萩)がよく植えられている。ハギ属のヤマハギは日本各地の山野に生える落葉半低木。少し前からヤマハギが花をつけ出している。ハギは秋の七草の一つで、古くから日本人に親しまれてきた。『万葉…

グラジオラスの色変化

アヤメ科のグラジオラスの和名は「唐菖蒲(とうしょうぶ)」。アフリカ、南ヨーロッパ、西アジアなどに200種前後が分布する球根植物です。 グラジオラスは地際から先端のとがった平べったい葉っぱを左右交互に出します。花は穂状に咲き、花の後はタマゴ型の…

マテバシイのドングリ

マテバシイ(馬刀葉椎、全手葉椎)はブナ科マテバシイ属の日本固有の常緑広葉樹。和名は葉がマテガイに似たシイノキという意味。かつて薪や炭を作るために植栽されたものが野生化し、現在では房総半島から沖縄まで広い範囲に見られます。湾岸地域でもあちこ…

白いユリが象徴するもの:マドンナリリーを巡って

(「マドンナリリーを巡って(1)、(2)、(3)」をまとめたもの) 白いユリの花とそれが象徴するものとはいずれが重要かと問われれば、美人と美人が象徴するもののいずれが重要かという問いに似て、時と場合に応じてそれは変わります。そして、白いユリが…

夏の白いユリ 

お盆の頃の花の代表の一つがユリであり、湾岸地域でも半ば野生化したユリがあちこちで咲いている。品種を特定しようとすると、これが意外に厄介で、私にはお手上げ状態が続いている。テッポウユリ(鉄砲百合)は日本固有のユリ。テッポウユリはラッパに似た…

モチノキの青い実

湾岸地域にはモチノキとその仲間、つまり、モチノキ科モチノキ属の常緑高木がたくさんあります。樹皮から鳥糯(とりもち)が採れるため、モチノキと呼ばれるようになったのですが、日本語の「もち」は鳥糯のこと。洋風の庭木が増えた現代でも、日本庭園には…

ヒメユズリハの青い実

ヒメユズリハ(姫譲葉)は、ユズリハ科ユズリハ属の常緑樹。同属のユズリハによく似ていて、区別が厄介である。春に若葉が出ると、古い葉が落ちることから、「譲葉」と呼ばれた。ユズリハは枝の出方が大ぶりで、どこか荒っぽい印象を受けるが、ヒメユズリハ…

アメリカフウの実

アメリカフウはフウ科の落葉高木で、葉が五つに裂けてモミジのように見えるため、モミジバフウ(紅葉葉楓)とも呼ばれる。隣の庭にも、近くの公園にも何本もの大木があり、随分前から青い実をたくさんつけている。アメリカフウは北アメリカ中南部及び中米が…

シマトネリコの翼果

湾岸地域には街路樹や公園樹としてシマトネリコが多く植えられている。シマトネリコはトネリコ属では数少ない常緑樹で、美しい小葉が規則的に並び、涼しげで爽やかな印象を与え、それが人気の理由になっている。5月下旬から夏にかけて、枝先に小さな白花が房…

夏のシシユズの青い実

異様にみえる画像は柑橘類のシシユズ(獅子柚子)、またはオニユズ(鬼柚子)。でも、シシユズはユズではなくブンタン(文旦)の亜種。中国原産で奈良時代に日本に入ってきました。その姿かたちはまさに「獅子」のようです。そのためか、ユズのような強い香…

コブシの袋果の姿から

コブシは春にモクレンに似た白い、美しい花を咲かせますが、その花が終わると、見向きもされずに忘れ去られてしまうようで、その後につける実の方はあまり知られていません。それは袋果(たいか)と呼ばれ、袋の中に入っている実が握りこぶしのように見える…

ジニア、それとも百日草

ジニアはヒャクニチソウ(百日草)とも呼ばれていて、私には昔ながらの盆花、供花のイメージが今も強く残っています。でも、ジニアと呼ばれ、花壇やコンテナなどに適した矮性の品種がたくさんあり、ガーデニング素材として人気があります。 Zinnia(ジニア)…

黄色の夏景色

メランポディウムはメキシコ~中央アメリカ原産で、キク科メランポジウム属の一年草。春~秋にかけて花茎頂上から黄色い頭状花冠を咲かせる。草丈が低いのでグランドカバーや寄せ植えなどに使われる。だから、目立たない筈なのだが、夏の暑い日中に元気に咲…

ザクロの記憶

既にザクロ(石榴)の花について色々記しました。8月が近づき、ザクロの実が大きくなり始め、色づき始めています。子供の頃、近所にザクロの木があって、不規則に裂けた実と種の多さ、そして酸っぱく、プチプチとした食感が今でも強く記憶に残っています。 …

路上で交尾するシロテンハナムグリ

シロテンハナムグリは暗緑色、輝く体に小さな白点模様を持つハナムグリの仲間。コガネムシは害虫ですが、シロテンハナムグリは益虫です。 ソロテンハナムグリの成虫はクヌギなどの樹液を餌としていますが、花の蜜をなめることも珍しくありません。画像はたま…

キマダラカメムシの老齢幼虫

体長20-23mmのキマダラカメムシは日本国内に生息するカメムシ亜科で最大種。台湾~東南アジアを原産地とする外来種で、長崎の出島から侵入、1935年頃には長崎市を中心に繁殖し、東京で最初に発見されたのは2008年。最近では都心のほぼすべての公園で見つかり…

野生化したバーベナの花壇復帰

夏が近づくと湾岸地域の空き地や路傍でお目にかかるのがヤナギハナガサやアレチハナガサ。どう見ても野生の雑草にしか見えない。二つの区別は茎が中実だとアレチハナガサ、中空だとヤナギハナガサ。バーベナの栽培種が野生化し、アレチハナガサ、ヤナギハナ…

ニシキギの翼

スズランノキ、ニッサボクと並んでニシキギは世界三大紅葉樹の一つとされ、日本の庭の名脇役となってきました。紅葉の美しさから「錦木」と名づけられましたが、ニシキギには枝の節間にコルク質の「翼」があり、これを刃物や矢になぞらえて、「剃刀の木」、…

土用の丑の日

今年の土用の丑の日は今日7月24日。それにしても、毎日暑い。そのためか、森の中の温泉や、うまいワインを想ってしまう。 土用太郎 緑につつまれ 湯につかる 土用入り ワインの葡萄 香り立つ 今日は芥川龍之介の命日「河童(かっぱ)忌」でもある。生前に好…

ストロベリーミントの白い花

シソ科のストロベリーミント(Mentha spicata 'Strawberry')はギリシャ神話に登場する、古くから使われてきたハーブです。イチゴの香りがするストロベリーミントはハーブティーやポプリなどに使われてきました。 全草をハーブティーやソース、デザートなど…

ハマナデシコの花

ハマナデシコの「サマーラベンダー」は夏から晩秋にかけて藤色の花を咲かせるダイアンサスの仲間。暑さ寒さに強く育てやすい品種で、爽やかな藤色の花が印象的である。花は初夏に一度咲いた後、9月から11月にかけてまた開花する。 ハマナデシコ(浜撫子)の…

ネグンドカエデ ‘フラミンゴ’の先祖返り

ネグンドカエデのフラミンゴ(Acer negundo 'Flamingo')の葉には白い斑が広く入り、ピンクを帯びて美しく、春の芽吹き、夏の涼しげな葉色、秋の紅葉と四季折々楽しめます。深い鋸歯の葉の外側に白く斑が入り、初めは赤みを帯びた若葉が、徐々に白からクリー…

不可能な対象はどのような意味で(不)可能なのか?

エッシャー(Maurits Cornelis Escher、1898-1972)の絵画に登場するような図形、あるいは物体が描かれているのを見て、こんな風景はあり得ない、不可能だと思った人がほとんどだと思います。実際、そんな風景はあり得ないと思わせ、混乱させるのがエッシャ…

ユートロキウム・マクラツムの花姿

学名が「Eutrochium maculatum」、和名が「紫花澤蘭(シカタクラン)、ムラサキヒヨドリバナ」と呼ばれるユートロキウム・マクラツムは、夏から秋にかけて小さな紫色の花を群がるようにたくさん咲かせる多年草。暑さや直射日光にも耐え、元気に花をつけてい…

ノシランの白い花

「ノシラン」と呼ばれているが、ラン科ではなく、ユリ科。ノシランはアジア原産で、海岸近くの林の中などに生える。湾岸地域でもあちこちに植えられているが、グランドカバーとして使われていて、花壇や通路を埋める植物になっている。花は白い紐(ひも)状…