2021-01-01から1年間の記事一覧
自分の「ふるさと」を知ろうと思うと、刷り込まれている記憶は大半が現象であって、それについての正確な知識は刷り込まれてはおらず、後知恵に過ぎないことに気づくのです。では、刷り込まれたものをきちんと知るには何が必要なのでしょうか。体験した記憶…
ギョリュウバイ(レプトスペルマム)は日本では12月頃から初夏まで咲いています。漢字だと「御柳梅、檉柳梅」と書き、原産は中国か日本と思わせるのですが、オーストラリア南東部とニュージーランドが原産です。英名は「ティーツリー」で、ニュージーランド…
私の「ふるさと」に登場する二つのものとなれば、照光寺と加茂神社です。照光寺は家からすぐのところにある寺で、その境内は近所の子供たちの遊び場になっていました。北国街道の坂を上ったところにある加茂さんは時々行く程度でしたが、高くて太い杉の木に…
「マーガレット(Marguerite)」は「真珠」を意味するギリシア語の「Margarites」からきています。花びらが純白で、丸く咲く花の形が真珠に似ているからでしょう。マーガレットの英語名は「Marguerite」、「Paris daisy」。後者の名前は、マーガレットがフラ…
熊坂長範や児雷也伝説に何度もしつこく言及したのも、妙高市周辺の伝説や昔話を掘り起こし、注意を喚起することにありました。そこでの私のたくらみは、子供たちにそのような昔話だけでなく、自分のふるさとの歴史や文化を詳しく伝えることにありました。 熊…
シソ科のヘミジギアは斑入りの葉にピンク色の小さな花をつける南アフリカ原産の半耐寒性の多年草です。斑入りのハイブリッド種がヘミジギア・ ピンクサファイアです。葉は対生で、寒さに当たるとピンク色を帯びます。 ヘミジギアの花期は5-7月、10-12月の…
私たちが自らの「ふるさと」を刷り込むかのように学習し、それが記憶として特別長く残ることを述べてきました。誰も故郷と異郷の違いに敏感なのはこのような刷り込み的な記憶の効果だと考えることができます。各地の風土や環境を知ることと、自らの「ふるさ…
ナンキンハゼ(南京櫨、南京黄櫨)の花について詳しく調べたことがありますが、紅葉や白い実もナンキンハゼの特徴です。葉は丸みを帯びた菱形や三角状広卵形で、秋には紅葉し、赤色や黄色、紫色などが混じり合います。秋には少し三角のかかった球形の蒴果(…
パンジー、ビオラはヨーロッパに自生する野生種から育種され、かつては大輪のものをパンジー、小輪のものをビオラと呼んで区別していましたが、現在は複雑に交雑された園芸品種が登場し、区別できなくなっています。私が子供の頃はパンジーしか見ませんでし…
私たちそれぞれの「ふるさと」がもつ独特の特徴は「帰属」と「所有」にあります。自分がどこに帰属してきた、どこのメンバーだったかを辿るなら、最初の帰属が家族、家であり、その次が「ふるさと」なのです。私の「ふるさと」は私が帰属する「ふるさと」な…
古くから人との関わりが深く、神話や伝説にも多く登場してきたのがアネモネです。ヨーロッパ南部から地中海東部沿岸地域の原生地では、比較的雨の多い冬に生育し、初夏に地上部が枯れると球根(塊根)になって、暑く乾燥する夏を越します。日本でも、涼しく…
「ふるさと」は誰もが刷り込まれる(すりこみ、imprinting)子供時代の記憶だというのはここでの私の仮説に過ぎませんが、刷り込み自体は動物行動学では周知の概念です。何を刷り込むかはどちらも同じで、周りの環境に大きく依存しています。「ふるさと刷り…
花の少ないこの時期に見事な黄色の花をたくさんつけているのがマホニア。かつてヒイラギナンテン属に分類されていた外来の常緑低木とその園芸種の総称ですが、主に台湾原産のマホニア・ヤポニカ(和名ヒイラギナンテン(柊南天))とマホニア・ロマリフォリ…
「生命地域」となれば、妙高市のスローガンを思い浮かべるのですが、その現在の定義のようなものを探ると、「A bioregion is a land and water territory whose limits are defined not by political boundaries, but by the geographical limits of human c…
サザンカがあちこちでうるさいほどに咲いている中で、カンツバキ(寒椿)もそれに対抗して咲き出しています。カンツバキはツバキやサザンカなどに比べると、樹高が大きくならず、枝が横に伸びるため、私たちが葉や花を上から見下すことができ、公園や歩道の…
多くの人が哲学は妄想だと思っているなら、これからの話は妄想でしかありません。 異郷を知らない人には「ふるさと」は存在しないのでしょうか。アイデア、観念だけの異郷は今風に表現すれば、情報としての異郷、あるいは異郷の情報と言うことになるでしょう…
オニヤブソテツはオシダ科の常緑シダ植物です。日当たりの良い場所から木陰などの暗い場所までの様々な環境で生育し、深い緑色で光沢のある堅い葉を茂らせます。そのため観賞用として湾岸地域でもあちこちで見ることができます。冬枯れの中で綺麗な深緑色が…
「ふるさと」トリヴィア(3)で、一茶とふるさとの関わりを次の三句で示しました。 初夢に 古里(故郷)を見て 涙かな 故郷(古里)や よるもさわるも 茨の花 是がまあ つひの栖か 雪五尺 信濃国柏原は今の信濃町柏原ですが、そこに生まれた一茶はいつも孤独…
ヒガンバナ(彼岸花)科のスイセンの開花時期は12月中旬から4月末までと長く、正月前後には咲き出しています。湾岸地域でもあちこちでスイセンが花をつけ始めました。周りで最もよく見かけるのは白い花の中心部が黄色の「日本水仙」(画像)。そんな日本水仙…
信濃の俳人となれば、小林一茶ですが、彼の「ふるさと」観の変遷は現代人にも通じるもので、庶民のふるさと観の典型例と言えます。 一茶はまだ江戸にいた寛政6年にふるさとへの熱き思いを表現しています。 初夢に 古里(故郷)を見て 涙かな 一茶48歳の文化7…
次は「ふるさと」の漢字表記についてです。「ふるさと」を漢字で書くと「古里」なのだそうです。私などは「ふるさと」は「故郷」だと思うのですが、近年は新聞の影響で「古里」が多くなっています。でも、辞書をみると「ふるさと」は「古里・故里・故郷」と…
中世の教養科目(リベラル・アーツ)は文法、修辞学、論理学から成る初級の3科 trivium(複数形はtrivia)と、算術、天文学、幾何学、音楽学の上級4科 quadriviumで構成されていました。そこからトリヴィア(trivia)は「初歩的でつまらない」という意味にな…
マンリョウ(万両)は、ヤブコウジ属の常緑小低木で、既に何度も紹介してきました。冬に赤い実をつけるため、その実と濃緑色の葉を観賞する縁起植物として昔から親しまれてきました。江戸時代から実の色が違ったり、葉に斑が入ったり、縮れたりするものなど…
青かったハッサクの実が色づき始め、いい色になってきました。ハッサクは日本原産のミカン科の柑橘類。「八朔」とは旧暦の8月1日のことで、万延元年因島の浄土寺の恵徳上人が発見しました。東南アジアまで勢力を広げ活躍した村上水軍が、遠征先から苗木や果…
花が金魚に似ていることから命名されたのがキンギョソウ(金魚草)。見た目は繊細でも、暑さにも寒さにも強い性質をもち、地中海沿岸の南ヨーロッパから北アフリカに自生しています。そのキンギョソウが12月になって咲き出しています。 キンギョソウは鮮明な…
既にここでも何度か堀口大學について述べました。堀口大學は1892(明治25)年東大赤門の前の家で生まれ、そのため「大學」と名付けられました。2歳で外交官だった父の故郷長岡に戻り、そこで長岡中学校卒業まで過ごします。慶應義塾を中退し、14年間に及ぶ外…
糸魚川歴史民俗資料館(相馬御風記念館)傍に御風の文学碑があり、そこには『還元録』(1916、御風33歳)の一節が刻まれています。彼は『還元録』に「ふるさと」回帰のいきさつを著し、友人に配り、糸魚川に帰ります。 さて、碑に刻まれている歌は弘法大師空…
リンゴもカキもとっくに実は落ちたのですが、シセントキワガキの実はまだついたままです。「四川常磐柿」はその文字から、誰もが中国四川省原産だと推測するでしょう。シセントキワガキはカキノキ科カキノキ属の常緑の柿で、庭木や盆栽として使われるロウヤ…
小川 未明(おがわ みめい、1882-1961)は、「日本のアンデルセン」、「日本児童文学の父」と呼ばれたのですが、戦後1950年代の童話伝統批判で集中砲火を浴びました。21世紀に入り、彼の作品は再評価され出しています。 未明は上越市に生まれ、父の澄晴は上…
薔薇は「ばら」ではなく、「バラ」と書くのが相応しいように思えるのですが、「いばら」、「うばら」、「うまら」から転訛したもので、棘のある木の総称(茨、棘、荊)として万葉集にも 登場します。 俳句では冬に咲く薔薇を「ふゆそ(さ)うび(冬薔薇)」…