2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

赤い実の「赤」(3)

赤い実の赤色を見る、清流の音を聞く、甘いジュースを飲む等々の感覚経験の際の感覚自体(感覚質)、怒りや悲しみの感情経験をする際の感情自体は、カントの物自体に似て、言葉で表現できないものと考えられてきた。その場合、ものとその表現の違いが注目さ…

ダリア

ダリアはキク科ダリア属の総称。元々はメキシコの高原に自生していた花で、メキシコの国花。18世紀にダリアの原種がメキシコからスペインに送られ、栽培されるようになった。日本には江戸時代末期にオランダから持ち込まれ、 昭和期には家庭の庭先を飾る夏の…

ハナイソギク追記

ハナイソギクはイソギクとイエギク (園芸種)の交雑種という説が主で、イソギクの先祖返り説は従の説(牧野原色植物図鑑)。イソギクの頭花は黄色の筒状花だけだが、ハナイソギクはそこに白い舌状花がつく。黄色の舌状花をもつものがサトイソギク。 花びら…

イソギクとハナイソギク

イソギク(磯菊)はキク科キク属の多年草で、磯の菊ということから「磯菊」の名がある。日本固有の野生の菊で、分布域は千葉県犬吠崎から静岡県の御前崎にあり、海岸の崖や岩場などに自生。イソギクの栽培は江戸時代から始まっており、現在では自生地以外で…

赤い実の「赤」(2)

<第二性質> 「私たちが住む物理的世界は数学によって表現でき、信頼可能な説明や予測ができる」ことを科学革命の目標とし、その実現をスタートさせたのがガリレオ・ガリレイ。数学が嫌いな人は物理学も嫌いだといった風評を生み出したのもガレリオ。ガリレ…

赤い実の「赤」(1)

多くの実が赤く熟す。種子を食べる虫は紫外線が見えるが、赤は見えにくい。だが、赤い実は種子を運ぶ鳥にはよく見える。実は赤、橙,黄色が多く、果肉も甘くなる。だが、熟すまでは緑色で目立たず、味もまずい。受粉の時以外は虫に来てほしくないため、実は…

カリン(花梨)の実

カリンは中国原産で、江戸時代に渡来したようである。その特徴は樹皮が独特の斑模様をしていて、ピンク色の花が美しく、大きな果実がたくさん実ることだろう。私にはその実はボケの実に似た印象があり、大きさは10~15cm、400gほどの重さがある。5月には実が…

人がつくる真偽

人が科学的に知る真偽と人が捏造する真偽とは意外に区別が難しく、昨日述べたのもそのような例でした。 (1)飲んでいた薬が急に見えなくなった。入れておいた筈の場所には何もない。きっと誰かが隠したか、捨てたに違いない。この家には私と夫しかいない。…

狂い咲き

花芽ができると、葉に「成長抑制ホルモン」が作られ、それが花芽に移動し、葉は役目を終えて落葉。周りの環境が変化しても、成長が抑制された花芽はそのまま冬を越す。そして、この「成長抑制ホルモン」は冬の寒さによって壊され、春の暖かさで花芽が開花す…

陰謀論の簡単構図

トランプ政権が陰謀論を利用して選挙をうまく戦い、多くの票を獲得したことで、あちこちで「陰謀論」が議論されている。アメリカ政治の文脈を離れ、陰謀のもつ意義を抜き出してみよう。 (1)飲んでいた薬が急に見えなくなった。入れておいた筈の場所には何…

ビワの花(初冬の季語)

11月13日にビワ(枇杷)の花芽について「果物のビワの実が思い出され、その食べ頃は初夏。今の紅葉の時期に花をつけ始めるビワはへそ曲がりで天邪鬼だと思いたくなるが、サザンカやツバキ、そしてボケも同じ頃に花をつけ始めることを考えると、少数派だが異…

皇帝ダリア、あるいは木立ダリア

コウテイダリア(皇帝ダリア)は学名の Dahlia imperialisを訳したもので、別名のキダチダリア(木立ダリア)は英語名のTree dahliaを訳したもの。それぞれ植物のサイズ、植物の茎の特徴から命名されていて、命名の仕方の違いを示している。兎に角、高さ8-10…

台湾椿の白い花

街中のサザンカが赤や白の花をつけ始めた。たき火など見ることができなくなった昨今だが、サザンカはあちこちで目立つようになってきた。JR有楽町駅の日比谷口から東京国際フォーラムに向かって歩くと、白い台湾椿の花が見えてくる。まだ咲いている花の数は…

紅葉と鬼と…

湾岸地域でもモミジが色づき始めた。となれば、思い出すのは紅葉伝説。「鬼滅の刃」で脚光を浴びる鬼たちだが、その鬼が登場するのが戸隠、鬼無里、別所温泉などに伝わる鬼女伝説。この伝説は室町時代から江戸時代にかけて、能や浄瑠璃、歌舞伎では「紅葉狩…

トベラの種子

目立たない脇役と評されるのがトベラだが、そのトベラが今の季節に示すとてもエロティックな姿には驚かされる。チャールズ・ダーウィンの祖父エラズマス・ダーウィンはロマン主義文学とリンネの植物学がミックスされた自著『植物の園』(The Botanic Garden…

朝焼け

今朝は気温20度以上、南風が強く、雲も多かった。そのためか、私の眼前に現れたのが瞬時の朝焼け。空の広さ、雲の形状、太陽光線などが複雑に組み合わされて、見事な風景が一瞬生まれたのだろう。 人は風景の凄さ、美しさにしばしば驚嘆する。だが、それだけ…

二季咲きのサッフォー

江間章子作詞、中田喜直作曲の「夏の思い出」で尾瀬は観光名所になった。尾瀬で水芭蕉が咲くのは5月末で、それは尾瀬の春先。ところが水芭蕉は夏の季語。夏休みに尾瀬に行っても水芭蕉の花は見ることができない。「水芭蕉の花が 咲いている 夢見て咲いている…

ネリネとヒガンバナ

11月なのに足元に咲くのは彼岸花の狂い咲きかと訝るが、よく見ると彼岸花より小ぶりで、調べてみると、その名は「ネリネ」。ヒガンバナ科ネリネ属(ヒメヒガンバナ属)で、確かに彼岸花の仲間であると判明。 ネリネは南アフリカ原産で、大正時代に渡来。ヒメ…

金魚とかなりや

童話童謡雑誌『赤い鳥』は、1918(大正7)年、夏目漱石門下の逸材、鈴木三重吉が創刊。有島武郎、芥川龍之介、菊池寛、小川未明らが童話を、北原白秋、西条八十らが童謡を発表し、日本の児童文学に大きな足跡を残した。童話では、芥川龍之介「蜘蛛の糸」、「…

赤い実

「赤い鳥小鳥」は北原白秋作詞、成田為三作曲の童謡で、その歌詞は次の通りです。 赤い鳥 小鳥 なぜなぜ赤い 赤い実を食べた 白い鳥 小鳥 なぜなぜ白い 白い実を食べた 青い鳥 小鳥 なぜなぜ青い 青い実を食べた 白秋の詩の策略は横に置き、鳥と赤い実の関係…

キリンソウとメキシコマンネングサ

以前はどちらもキリンソウ属(Sedum)でしたが、今はキリンソウ属(Phedium)とマンネングサ属(Sedum)に分けられています。でも、キリンソウの花はメキシコマンネングサにそっくりで、素人の私には花だけではまるで区別がつきません(花の画像)。メキシコ…

秋の葉の色の変化

紅葉は植物の葉にアントシアニンが蓄積し、クロロフィル(葉緑素)が減少することによって引きこされます。紅葉や黄葉の色は、アントシアニン、クロロフィル、カロテノイドの三種の色素によって決まります。昨日花の色について述べたように、アントシアニン…

花の色の説明

同じ木の枝に二色の花が咲き、紅白が競うように咲くと、「源平咲き」と呼ばれ、それはウメだけでなく、ツバキ、ツツジ、ボケの仲間にもあります。本来は赤い花の木なのに、赤い花に必要な酵素が働かなくなることによって白い花になってしまうのです。「源平…

不識の識、あるいは無知の知

インドから中国に来た達磨を熱心に迎え入れたのが梁の武帝。仏法に深く帰依する武帝は宮中に達磨を招き、教えを乞うのだ。 「私は寺をつくったが、その功徳は何か」 自分の善行への見返りは何かと尋ねたのである。それに対して達磨は短く答える。 「無功徳」…

チェリーセージ ホットリップスの花の色

チェリーセージはメキシコ北部原産の多年草で、高さ1.5mほどになり、茎の基部は木質化する。葉は卵形で対生し、縁には鋸歯がある。茎頂や葉腋から花序を出し、赤色の花をつける。条件によって、赤い色の部分の割合が変化し、白一色、赤一色になることもある…

ピラカンサの実

ピラカンサはバラ科ピラカンサ属の常緑広葉中高木。和名は常緑のサンザシに似た実をつけることから「トキワサンザシ」。タチバナモドキ、カンデマリもピラカンサと呼ばれている。タチバナモドキは黄色の実(画像)、カンデマリは平たい実をつける。ピラカン…

ビワ(枇杷)の花芽

ビワはバラ科の常緑高木で、果物のビワの実が思い出され、その食べ頃は初夏。今の紅葉の時期に花をつけ始めるビワはへそ曲がりで天邪鬼だと思いたくなるが、サザンカやツバキ、そしてボケも同じ頃に花をつけ始めることを考えると、少数派だが異端児という程…

クモの糸、クモの巣(網)

ナガコガネグモ、そしてジョロウグモは網をつくるクモとして私の周りでもよく見かける。ナガコガネグモの背は白、黒、黄が均等で、細長く、ジョロウグモは腹が大きく、内側に赤い紋がついていて、いずれもかなり派手である。 芥川の「蜘蛛の糸」(くものいと…

カクレミノの葉の形状から

昨日書いたカクレミノのことが後を引き、「葉」は生き物にとってどのような部位なのだろうか、と哲学っぽい問いが浮び、常套的に、 (1)葉は生き物にとってどのような機能、意味をもつのか、 (2)葉は植物にとってどのような役割をもつのか、 (3)植物の…

カクレミノの葉と実

既に何度かカクレミノ(隠蓑)について述べた。その概要は「葉は濃緑で光沢がある卵形の単葉で、枝先に互生する。花は6月から8月に咲き、実は長さ1cmくらいで先端に花柱が残り、晩秋に黒紫色に熟す。実の中には8mmほどの種が入っている。」であるが、そのカ…