親椿(しんちん)と親水

今はツバキの花が目につきます。武蔵野台地の端にあるのが関口台地で、神田川に面した辺りには南北朝時代から椿が自生し、「つばきやま」と呼ばれていました。そして、そこにできたのが椿山荘です。また、新椿橋(しんつばきばし)は新中川に架かる橋ですが…

ヤハズエンドウの花

ヤハズエンドウはマメ科ソラマメ属の植物で、日本のいたるところで見ることができます。繁殖力が強く、あちこちに自生しています。画像のように茎には巻きひげがあるのがヤハズエンドウの特徴で、周囲の植物に絡みつくことがあります(画像)。別名の「カラ…

マルバ スボバータの花が咲く

画像の花がウスベニアオイ(Malva sylvestris)の仲間だと推測し、調べた結果、アオイ科のマルバ スボバータ(Malva subovata)とわかったのが一昨年でした。Wikipediaによれば「Malva subovata, the tree mallow, is a species of flowering plant in the f…

「花はなぜ咲くのか」への解答:老人の杞憂

心配する必要がないのに心配するのが老人の本性で、その一つが「花はなぜ咲くのか」への解答。花が咲く理由は、風にそよいだり、虫をおびき寄せたりすることによって、花粉を遠くへ運んでもらう必要があったからというのが常識的な解答。ダーウィニズムに従…

春のヒメオドリコソウ

今広い公園にはホトケノザとヒメオドリコソウの花が咲いている。ホトケノザはその葉の形が仏様の台座のように見えるというのが名前の由来。ホトケノザといえば春の七草の一つとして有名。だが、残念ながら七草の「ホトケノザ」は同じ名前の別の植物で、コオ…

オオアラセイトウの花

アブラナ科のオオアラセイトウの花が咲いている。それも花壇の端で咲いている。別名が「ハナダイコン(花大根)」、「ショカツサイ(諸葛菜)」、「ムラサキハナナ」で、江戸時代に観賞用として渡来し、野生化したものとされているが、最近は園芸用に種や苗…

ネモフィラとオオイヌノフグリの花

ムラサキ科ネモフィラ属のブルーインシグニスが一面に咲く光景で有名になったのが国営ひたち海浜公園ですが、普通はネモフィラと呼ばれています。ネモフィラは4月中旬に見頃になり、花径2cmほどのサイズで、みはらしの丘一面が青く染まり、インスタ映えする…

シベリアザクラの花

色んな桜が咲き始め、カワズザクラなど既にすっかり散ってしまっているが、今咲いているのがシベリアザクラ(バラ科)。滅多に見ないシベリアザクラだが、早春にピンクの八重咲きの花をたくさん咲かせる。 シベリアザクラ(Prunus triloba)は日本ではやはり…

Selection:Natural selection or Artificial selection

一体何が、誰が選択するのか?自然選択は自然が、人為選択は人が選択することになっているが、人が自然のものである以上、いずれの選択も自然による選択ではないのか。それでも、人工的な交配と自然な交配は区別され、園芸種は自然種(Natural kind)ではな…

椿の花たち

今はツバキの花をあちこちで観ることができます。Camellia japonicaの原種であるヤブツバキが大半を占めています。地面に落ちたツバキの花の姿は生死の姿をそのまま具現しているようで、いつも考えさせられます。何輪も歩道に散らばっていると、時には花の命…

枯れ木に花?

ソメイヨシノより先に満開のハクモクレンは青空の中で存在感を示しています。皮肉好きなら「枯れ木も花の賑わい」と揶揄するかもしれません。そんなへそ曲がりより、先ず花をつけることによって植物の本性を実現する試みが表現されていると優等生的に考える…

ハマダイコンの花

昨年ハナダイコン(=オオアラセイトウ)とハマダイコンの違いについて随分と頭を悩ましました。どちらもアブラナ科の越年草で、ハナダイコンの和名が「オオアラセイトウ(大紫羅欄花)」です。別名が「ショカツサイ(諸葛菜)」。 一方、ハマダイコン(浜大…

オウバイモドキの花

早春にロウバイが、次にオウバイが開き、そして今はオウバイモドキの花が咲いている。オウバイの中国語名は「迎春花」、英名は「ウィンター・ジャスミン」。オウバイはモクセイ科の半蔓性の落葉低木で、原産地は中国。早春に梅に似た形の黄色い花を咲かせる…

ヒヤシンスが咲き出す

ヒヤシンス(Hyacinthus orientalis)の小さな花が今年も咲き出し、地表に春を感じる。 キジカクシ科のヒヤシンス(風信子、飛信子)は球根性多年草。ヒヤシンスは地中海が原産で、属名はギリシャ神話に出てくる少年の名前(*)。16世紀以降にオランダで改…

キブシ(木五倍子)の花

「木五倍子」の漢字を見てもわからず、好奇心が掻き立てられるキブシはキブシ科キブシ属に属する雌雄異株の落葉低木で、別名キフジ、と言われても何だかよくわかりません。和名は果実を染料の原料である五倍子(ふし)の代用として使ったことに由来します。 …

シキミのもつ不気味な雰囲気

シキミ(樒)はマツブサ科シキミ属の常緑小高木。葉は厚く艶があり、春に淡黄白色の花を咲かせる(画像)。秋から冬にかけてつける星型の実には毒が含まれます。そのため、「悪しき実」が「シキミ」の由来と言われています。 仏事に用いるために寺院によく植…

よく似た色合いの理由

ヒマラヤユキノシタは早春にピンクの花を咲かせるユキノシタ科の多年草で、常緑性で冬でも緑色の葉姿を楽しむことができる。原産地は東アジア〜中央アジア。「ヒマラヤユキノシタ」という名前は、学名のベルゲニア・ストラケイ(Bergenia stracheyi)に和名…

サンシュユの世界

サンシュユが花盛りで、遠目には木全体が黄色に染まっているように見える。その姿はミモザの花に似たようでありながら、近づくと幹や枝と黄色の小さな花の配置の案配がすこぶる和風で、集合した花だけがもっぱら目立つミモザとは随分と違っている。サンシュ…

マグノリアとしてのハクモクレン

最近は格好よくマグノリアと呼ばれることが増えたハクモクレンは、花が新葉の出る少し前に卵が立ち並ぶように上向きに咲き始め、横に広がるコブシ(辛夷)と違って花弁が開き切りません。全開しない花とは不思議に見えますが、咲かない花とは違ってそれ程珍…

モクレンの蕾、ネコヤナギの花穂

小中学生への漢字読み方問題の好例が「蕾」と「花穂」で、答えは「つぼみ」と「かすい」。花穂は意味も厄介である。こんな小言幸兵衛風の話はさておき、いずれも春の訪れを表していて、一句捻り出したくなる。 木蓮の蕾ほころび春来る 猫柳残雪に咲く花穂か…

Deus ex machina

このところ「神の奇跡」について何度か書いたが、そんな時に歩いている私を追い越した若者の背中の「Deus ex machina」の文字が飛び込んできたのだ。着ている若者の自己主張の文言ではないとわかったが、それが若者に人気のブランド名だなどとはまるで知らな…

カンザクラの花

近くにカンザクラ(寒桜)があり、その木が満開である。青空と桜の花は相性が良い。カンザクラはカンヒザクラ(寒緋桜)とヤマザクラ(山桜)、またはオオシマザクラ(大島桜)との交雑種と考えられ、江戸後期より関東地方以南の温暖な気候の場所に分布して…

クリスマスローズ

クリスマスローズは無茎種(茎がなく、根茎から葉柄と花柄が別々に伸びる)のヘレボルスで、無茎種の原種を交雑させてできた園芸種です。人気があるようで、今年はあちこちで花を見ることができました(有茎種のヘレボルス・フェチダスは既に今年の2月29日に…

ネコヤナギの春

子供の頃の雪解けは春休み期間と重なっていて、3月の中、下旬だった。川辺から雪解けが進み、地肌が次第に見えてくるのだが、その川辺に多かったのがネコヤナギ(猫柳)。ヤナギ科のネコヤナギは落葉低木で、早春の川辺でネコヤナギの花穂(かすい、外見が穂…

リナリアの花たち

可愛い名前のヒメキンギョソウ(姫金魚草)の園芸種は最近リナリア(Linaria)と呼ばれる場合がほとんどですが、そのリナリアが花壇で花をつけています(画像)。画像はリナリア・マロッカナ(Linaria maroccana)で、日本へは明治時代末期に渡来し、近年では一…

モデル生物

昨日モデル生物について記し、代表例は動物ではショウジョウバエ、大腸菌、植物ではシロイヌナズナを挙げました。モデル生物は生物学、特に分子生物学で生命現象の研究で使われる生物種です。シロイヌナズナは2000年に植物としては初めて全ゲノム解読が完了…

聖書の奇跡:奇跡に満ちた聖書

神話は私たちの遺産であり、奇跡の宝庫。ギリシャ神話の神々は様々な奇跡を起こし、似たような奇跡は『古事記』の世界でも珍しくありません。超自然的な奇跡が物語をつくり、民族の歴史の出発を飾ったのはいつも奇跡でした。『旧約』の奇跡はギリシャ神話や…

ハーデンベルギアの花:再訪

マメ科のハーデンベルギア(Hardenbergia violacea)はヒトツバマメ属の観賞用の園芸品種で、蔓性で、茎は2mにも伸びます。オーストラリア東部が原産です。 3月から5月ごろ、「えんどう」に似た小さな花を房状に咲かせます。花色は、青紫色や白色など(画…

ナズナで思い出すこと

春の七草の一つナズナがあちこちで花をつけ出している。ナズナで思い出されるのは「モデル生物」。モデル生物の代表例は動物ではショウジョウバエ、大腸菌。モデル生物は生物学、特に分子生物学で生命現象の研究で使われる生物種である。シロイヌナズナもそ…

実証的な奇跡?:ルルドの泉

スペインとの国境にあるピレネー山脈のフランス側の山麓に、カトリックの聖地ルルドがあります。1858年、ルルドに住む貧しい少女ベルナデッタ・スビルーが、村はずれの洞窟で聖母マリアを見たということが発端で、聖母マリアに言われて、彼女が洞窟の土を手…