エノキの実

 エノキ(榎)はニレ科エノキ属の落葉高木。「榎」という漢字は道の脇の大樹が木陰を作るので、夏の木の意味の和字。丸い小さな実をつけ、秋に熟すと橙褐色になり、食べることができる。味は甘く、昔は子供のおやつだったようである(画像)。名前の由来は諸説あるが、秋にできる朱色の実は小鳥や森の生き物に人気が高く、「餌の木」からエノキとなったという説がある。

 エノキは生き物たちに人気が高く、ヤマトタマムシゴマダラチョウの食草となり、実はツグミなどの鳥の好物である。天然のエノキタケはエノキの切り株や枯木のほか、コナラやクヌギ、それにヤナギやミズナラなど様々な広葉樹に寄生するキノコで、キノコらしい広い傘とオレンジがかった黄色から茶色い色をしている。

 枝分かれが多く、大きな緑陰を作るため、各地で植栽され、その巨木が今日でも見られる。そのためか、エノキが花や実をつけることは想像しにくいのだが、新緑の葉に近づくと、花や新芽だけでなく、小さな実も見ることができる。

*エノキの漢字は「榎」で、これは日本で作られた国字です。江戸時代の一里塚には、木陰を提供するエノキがよく植えられました。例えば、二本榎通り(にほんえのきどおり)は港区高輪一丁目と高輪二丁目の間、および高輪三丁目を通る道の名前です。

*エノキは春に実をつけ、その実は秋に橙色に色づきます。実は鳥がよく食べ、そのフンから種子が撒かれることになります。ゴマダラチョウとアカボシゴマダラは幼虫期にはエノキの葉を食べることで知られています。

 

新緑に榎の実つきいのち萌え

新緑の中に榎の実が見えて