2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧
妙高の方言の代表格となれば、「おまん、おまんた」。それぞれ二人称の単数形、複数形で、これらこそが故郷を代表する方言だと思われていないだろうか。だが、これら単語は妙高独特の謂い回しではなく、実は日本中にありふれた二人称の表現なのである。大河…
既にヒトツバタゴとイペーについて述べた。ヒトツバタゴはアメリカヒトツバタゴかどうか同定できないと述べた。アメリカヒトツバタゴの木も見つけて調べたのだが、正直なところ二つの区別はあちこちの記載通りにはいかないと実感している。ヒトツバタゴ(一…
「謙信の義とは禅の「第一義」つまり「究極の真理」に由来し、義は第一ではあるが、第一でないのが本当の意味で、それは不識を理解すればわかる」などと訳のわからない説明がされています。「第一義」の意味は根本的な原理で、「世界の第一義」などと使われ…
昭和30年代初頭は私の小学生時代の前半といった頃で、随分と昔の生活が残っていた最後の頃だと思う。その後は急速に電気製品が普及し出し、テレビや車が増えていく。周りの農家にはまだ牛や山羊がいて、耕運機の姿がまだない時代だった。そんな時代の必需品…
真っ黒のチューリップは見たことがないが、画像のようにそれに近いチューリップはある。『黒いチューリップ(La Tulipe noire)』(1850)はアレクサンドル・デュマ・ペールの小説。17世紀のオランダで起きたチューリップ・バブルと、1672年のデ・ウィット兄…
チャンチンはセンダン科の落葉高木。若芽は画像のように赤褐色を帯び、そのため園芸種の名前がフラミンゴ。ウルシに似た葉で、独特のにおいがある。葉は、ダークレッドからサーモンピンク、ライムグリーン、そしてダークグリーンへと変化していく。新芽や若…
ヒメウツギはアジサイ科ウツギ属の落葉低木。接頭語の「ヒメ」がつき、ウツギほどは背が高くならないほふく性のウツギの仲間。非常に丈夫で、しかも画像のように綺麗な白い花が咲く。そのため、庭でよく用いられる。開花は初夏なのだが、この辺では既に伸び…
雪からすっかり縁遠くなり、雪のない生活に慣れてしまった。それを堕落とは思わないが、雪のない東京の冬は実に楽だと実感すると、今の生活が雪から逃れてのものだとつい思ってしまう。故郷の雪が嫌いだったわけではないし、雪から逃れて東京暮らしに入った…
昨年夢の島でこの花が咲いているのを始めて見たのだが、今年は台場で4本のイペーの木を見ることができた。イペーはノウゼンカズラ科の広葉樹。原産地はアルゼンチン、ブラジルなどである。ちょうど今頃が開花時期で、南米原産の落葉高木。別名は「コガネノウ…
与謝野晶子は1904(明治37)年9月、日露戦争の旅順攻囲戦に従軍した弟を嘆いて「君死にたまふことなかれ」を『明星』に発表した。その一部を以下に載せておく。 あゝをとうとよ、君を泣く、君死にたまふことなかれ、末に生れし君なれば親のなさけはまさりし…
アジサイにはまだ早い。だが、一見するとアジサイと見紛うばかりの花姿である。バロックの世界を彷彿させることを純白の花色が押さえ込んでいるのだが、これが白でなければ、絢爛豪華な光景ということになる。春になると、オオデマリは直径7~10センチほどの…
ほとんどの動物の青色は色素ではなく、散乱や構造色によるものです。色素と散乱や構造色とでは、色の見えるメカニズムが異なります。色素は特定の波長を吸収しないことで、特定の色が見えています。青色の色素ならば、光の三原色の残りの二つ、赤色と緑色の色…
ハナミズキは、ミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属の落葉高木。私はヤマボウシが好きなのだが、ハナミズキの別名がアメリカヤマボウシで、よく似ている。近年急速に街路樹として勢力を増してきたというのが私の印象で、湾岸では今あちこちで白や淡いピンクの花…
妙高市の鳥はオオルリ、花はシラネアオイで、いずれも青い色が特徴的です。オオルリはコルリ、ルリビタキと共に「青い鳥」御三家。また、ウグイスとコマドリと共に日本三鳴鳥の一つ。オオルリは色も鳴き声も優れた鳥で、そのためかどうか知りませんが、妙高…
「今年の桜は長く楽しむことができた」と人々が言うのを聞いて、気象予報士はその理由をしたり顔で説明したりする。では、もう桜は終わったのかというと、そんなことはなく、サクラはまだ咲いている。最近はソメイヨシノ以外の園芸種が増え、公園や歩道には…
私は私学で学び、私学で教えてきました。私の子供の頃、故郷の妙高では国公立が私立より優れていると疑いなしに信じられていましたし、私の出た県立高校などは国立大学に入学させることだけを目指して受験のための教育に明け暮れていました。私立の文学部に…
久し振りに木場公園に行くと、ツキヌキニンドウが赤い花をつけている。その赤い花が葉を突き抜けて咲いているように見えるのが大きな特徴(画像参照)。スイカズラ属のツキヌキニンドウは北米原産で、初夏から秋まで長い間開花する半常緑から常緑性のつる植…
生命地域主義(bioregionalism)は時には「バイオリージョナリズム」、「生態地域主義」と呼ばれる。妙高市は「生命地域の創造」を標語にしている。自分たちが居住し、生活する場が地域、その地域の自然と人間との昔からの相互関係を再度見直すことで、その…
ヒトツバタゴ(一つ葉タゴ、一つ葉田子)は日本では希少種の一つであり、絶滅危惧II類 (VU)に指定されている。天然での分布域も狭く、長野県、愛知県、岐阜県、長崎県に自生するだけで、それぞれの県のレッドデータブックに載っている。ヒトツバタゴはモク…
アメリカの国立公園 日本の国立公園は実質的には第二次世界大戦後GHQの指示のもとにスタートします。では、肝心のアメリカの国立公園の制度や歴史はどうなっていたのでしょうか。ここではごく初期の経緯をジョン・ミューアを通じて辿ってみましょう。1803年…
このところよく見る草花で、路傍のあちこちに咲いている。花茎が細長く、そのため素人の私にも妙に目立つのである。それがマツバウンラン(松葉海蘭)で、葉の形が松葉、花が同じゴマノハグサ科のウンランに似ていることからこの名がついた。命名の由来の本…
日本の公園 日本に公園が生まれたのは明治に入ってからのことです。江戸時代、江戸、京都などの近郊の景勝地が庶民の遊覧の場所でした。本来民主的な社会施設である公園は封建的社会にはなく、支配者の恩恵的な施設として存在したに過ぎません。例えば、水戸…
都市には幾つも公園があり、それが当たり前の気がします。では、江戸時代に公園はあったのでしょうか。小さな村となると、公園はあるのでしょうか。どう見ても里山には公園は少なそうですし、さらに山に入っていったら、当然公園などないと断言したくなりま…
モッコウバラ(木香茨、木香薔薇)は、中国原産で、常緑性つるバラ。4月から5月にかけて、アーチやフェンスに這わせた大株のモッコウバラは、その花の量に圧倒される。花色は八重咲きの黄色が主で、そのほかに黄色、白の一重咲きがある。他のバラのようなト…
雪舟「秋冬山水図」(冬景図) 等伯「松林図」(左隻) 雪舟の「秋冬山水図」と等伯の「松林図」がずっと気になっている。これも自分の年齢のせいかも知れない。実在や表象について「主観的」と「客観的」とは紙一重で、二つの峻別は的外れ、というのがとり…
花と見紛うばかりの葉の色に驚いて、よく見ればトウカエデ。きちんと言えば、「トウカエデ 花散る里(ハナチルサト)」。トウカエデのの斑入り葉品種である。「メープルレインボー」とも呼ばれる。新葉から紅葉まで、移ろうように葉色が変化していき、秋の紅…
学生時代に喫煙を覚えた私はヘビースモーカーになった。そして、40年近い喫煙時代に色んな煙草をたっぷり経験した。概して美味しくない紙巻き煙草と違って、パイプ煙草や葉巻は大抵美味しかった。昭和の日本は煙草に寛容で、どこでも煙草が吸え、歩道は吸殻…
ペンローズの三角形 まず、「ペンローズの三角形」と呼ばれる図形を見てほしい。多くの人はフィッシャーの絵に使われている一要素だと思うのではないか。この図形が二次元上の対象であれば、実際に二次元の平面に描かれているので、その存在は可能どころか、…
春も盛りだが、足元には淡い紫と白のナデシコの花が見える。カワラナデシコはナデシコ科ナデシコ属の多年草。秋の七草のナデシコはカワラナデシコのことで、別名がナデシコ、ヤマトナデシコ。本州から九州の低地、山地の草原や川原などに生え、高さ30〜80cm…
40数年ぶりの同窓会に出席することを想像してほしい。その日が近づくにつれ、あなたは若い頃の思い出に耽り始める。蘇り、溢れ出るかつての記憶の洪水の中であなたはプルーストの『失われた時を求めて』と似たような経験をすることになるかも知れない。記憶…