2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ツクシとスギナ(土筆と杉菜)

「スギナの胞子茎がツクシ」というのがツクシとスギナの関係。スギナ(杉菜)はトクサ科トクサ属のシダ植物で、春先に出る「胞子茎」がツクシ(土筆)。スギナはツクシが枯れた後に芽を出し、草丈は30~40cmになり、中空の円柱状で、節で輪生状に多数分岐し…

有明の日本丸:再訪

江東区は湾岸部分が多い。埋め立てで運河がつくられ、それが東京湾に流れ込んでいる。新木場、辰巳、有明、青海には埠頭が幾つもあり、色々な船が停泊している。コンテナ船が多いが、海上保安庁の巡視船も停泊している。 東京ビッグサイトの横に有明西埠頭が…

トキワマンサクの花溢れる

トキワマンサク(常盤満作)は日本、中国、インドに分布。日本での自生は少なく、静岡県湖西市、伊勢神宮、熊本県荒尾市が知られているだけですが、刈り込みに強く、庭木や生垣として広く栽培されています。そのため、湾岸地域でもうるさい程にあちこちで見…

キタテハとの遭遇

歩道橋の階段で遭遇したのがキタテハ。キタテハはキタキチョウと同じく、成虫で冬を越すチョウ。そのため、今出遭っても何もおかしくないのですが、大型のチョウを見るのは久し振りで、妙に興奮してしまいました。 キタテハはオスかメスかの判別が厄介で、私…

満開のコブシの花

コブシの花の蕾は銀色の毛を持つ3枚の「萼片」で覆われていて、葉が出る前に小枝の先にハクモクレンより小さい白い花をつけます。花びらの幅は狭く、ハクモクレンと違って、花は全開します(画像)。花弁は6枚あり、萼片は3枚で、雌雄同株。花弁は白く、外…

私の野菊像

「野菊の如き君なりき」は1955年に公開された日本映画。木下惠介監督・脚本で、原作は伊藤左千夫の『野菊の墓』(底本:「日本文学全集別巻1 現代名作集」河出書房、1969、初出「ホトトギス」1906(明治39)年1月)。 野菊はキク科の野生の植物の総称だが、タ…

セイヨウオダマキの花

セイヨウオダマキはキンポウゲ科オダマキ属のAquilegia vulgarisの和名。画像が示すように、セイヨウオダマキの花は不思議な形をしています。花弁に見える部分は萼(がく)で、花弁は筒状の部分になります。さらに、花弁の後ろに距(きょ、細長い部分)が伸…

ラッパスイセンの花

冬の間スイセンは私たちを随分楽しませてくれましたが、そろそろその花姿を消そうとしています。 スイセンは現在大きく二つに分けられます。一つは11月頃から咲き始めるニホンスイセン(日本水仙)、もう一つは2〜3月頃に大きな花を咲かせるラッパスイセンで…

集団の美

花の集団は個々の花とは違う景色を持っています。誇張して、花一輪と花の風景とでも対比的に表現すれば、一つの対象と全体的な風景の違いがわかるのではないでしょうか。さらに、単なる集団ではなく、そこに方向や構造といった秩序を認めるなら、流動的な流…

三つのミズキの花

ニオイトサミズキ(匂土佐水木)、またはシナミズキ(支那水木)はマンサク科トサミズキ属で、原産地は中国西南部。花期は3月半ば~4月半ば。大型の房咲きの花で花つきがよく花色も濃く、花にはバニラのような香りがあります。 ヒュウガミズキ(日向水木)も…

フリージアの花:再訪

4日前に記したフリージアは黄色の花だけでした。アヤメ科のフリージア(Freesia refracta)の原産地は地中海沿岸。チューリップやサフランなどと同じ球根植物で、秋に球根を植えると、春から夏にかけて色鮮やかな花を咲かせます。以前の黄色の花の他に、赤…

AIにできること、そして人間にできること

最近はAIが私たちの話題の中心になっていて、毎日ニュースになっています。20世紀のAI研究は浮き沈みが激しいものでした。チューリング・マシーンを学び、チューリングの映画に衝撃を受け、チェスや囲碁のAIもプロ棋士たちを脅かし始めていました。自動車の…

陽光の花

花見の主役ソメイヨシノに先駆けて、淡い赤紫色の一重咲きのヨウコウ(陽光)が満開を迎えようとしている。今年は昨年より開花が遅い。陽光は豊洲や有明に意外に多く、日本原産の交雑種で、高岡正明がアマギヨシノ(天城吉野)とカンヒザクラ(寒緋桜)を交…

ユスラウメの花

ユスラウメ(梅桃、梅桜、桜桃)は中国原産のバラ科サクラ属の落葉低木で、江戸時代初期に渡来しました。サクラが咲く頃にサクラやウメに似た5弁の花をつけます。今年も咲き始めました。花の色は白または薄いピンク色で、葉が出る前から咲く場合もあります…

レッドロビンの赤い新葉

新緑の中で「万緑の中や吾子の歯生え初むる」(中村草田男)という句を思い出す人が多いのではないでしょうか。ところが、レッドロビンの新芽は緑色ではなく、紅色が美しく、他の植物の緑色と鮮やかなコントラストを生み出してくれます。ですから、一句詠む…

不安と病気:ダーウィンの場合

<ダーウィンの不安> ダーウィンは『種の起源』を著して従来の世界観を根底から覆しました。そのダーウィンは若い時から自分でもよくわからない不安に苛まれていました。今の医学的知見から見ると、ダーウィンの病気は「パニック障害」ではなかったのかと推…

セイヨウアブラナの花

「菜の花」と私たちが呼ぶのはアブラナが美しい花をつけたときの状態です。ブラッシカ・ラパ(Brassica rapa)は、アブラナ科アブラナ属の野草で、多様な栽培植物の原種と考えられていて、学名でそのまま呼ばれています。古代から西アジアから北ヨーロッパの…

トウダイグサ属の花

トウダイグサ科は真正双子葉類の科で約300属7500種以上を含む巨大な科。特に、トウダイグサ(ユーフォルビア)属 (Euphorbia) が多く、何と1500種を越える(科や属が多いことの意味はいずれじっくり考えたい)。 トウダイグサ属の花は雌雄異花で、非常に特…

園芸種の野生化

ツルニチニチソウ(蔓日々草)はキョウチクトウ科の常緑蔓性の植物。今は湾岸地域のどこでもその花を見ることができる。その花は春の兆しを感じさせてくれる。ほとんどのツルニチニチソウは野生化している。 ビンカ属は蔓性の多年草または亜低木に分類され、…

野生種と園芸種:あるいは、自然種と人工種(?)

キュウリグサとワスレナグサ 3月に入り、野原に春の花が咲き出しています。そんな野草の一つがキュウリグサ(胡瓜草)。キュウリグサの花はとても小さく、よくよく見ないと見過ごしてしまうのですが、目を近づけてみると、ワスレナグサによく似た花をつけて…

光沢のあるラナンキュラスの花

ラナンキュラス ラックス(Ranunculus Rax)はラナンキュラスの異種間交配で生まれた品種。背丈が高く(50~80cm)、枝分かれするスプレー咲きであることが特徴。花弁の質感も異なり、シルクのような艶やかさがあり、光にあたるとキラキラと光り、咲き進むに…

ストック、あるいはアラセイトウの花

ストック(Stock、Matthiola incana)は、南ヨーロッパ原産で、アブラナ科マッティオラ属の耐寒性一年草です。葉は細長く産毛状のものが生え、直立した柔らかい花茎から穂状花序を伸ばし、芳香のある花を咲かせます。花には一重咲きと八重咲きがあり、花色は…

下向きに咲く花の別の例:キバナルリソウ(紫花) 

画像のムラサキ科のキバナルリソウ(Cerinthe major、黄花瑠璃草)は花全体が紫色の品種。和名のキバナルリソウよりセリンセ・マヨールの名がよく使われます。花序はムラサキ科の特徴であるサソリ形花序。花は下向きの筒状、先が黄色、下部が紫色の2色か、ま…

花が下向きで咲く理由

ウメの花は上向きなのに、サクラの花が下向きなのはなぜなのか。ヒマな老人の少年のような疑問への答えを探ってみましょう。 ウメの花は枝にしっかり付いた仕方で咲きますが、サクラの花は長い柄(花柄)の先に咲きます。この柄が花を支えるのに充分な強度を…

コブシの花

既にハクモクレンの花について述べましたが、そのハクモクレンに似たコブシ(辛夷、拳)の花もほぼ満開です。コブシはモクレン科モクレン属の落葉広葉樹で、北海道から九州まで広く自生しています。早春にレモンのような香りのある白い花を咲かせ、春の訪れ…

ハナニラの微妙な色変化

ハナニラ(花韮)はアルゼンチン原産で、明治時代に観賞用として日本に導入されました。それが逸出し、帰化し、湾岸地域でもあちこちで野草として見ることができます(画像はどれも道端で花をつけているハナニラ)。名前の通りで、ハナニラの葉にはニラやネ…

Logicの本性

「論理、ロジック、Logic」のどれも日常よく使われています。それらのどれかが使われると、何か硬派の感じがして、難しい理屈の話だと思われてしまうようです。でも、その日常的な使い方のほとんどは論理学を知っている人にはとても奇妙で、苦言を呈したくな…

ウグイスカグラの花

スイカズラ科のウグイスカグラは「鶯蔓」ではなく、「鶯神楽」。何とも神妙な名前に思えるのだが、ウグイスの鳴く頃に花が咲くことと、ウグイスが隠れるようなヤブになることから、古名のウグイスカグレが変化し、ウグイスカグラとなり、その結果、「神楽」…

フリージアの花

アヤメ科のフリージア(Freesia refracta)の原産地は地中海沿岸。チューリップやサフランなどと同じ球根植物で、秋に球根を植えると、春から夏にかけて色鮮やかな花を咲かせます。その特徴は多様な花色と甘い香りを放つことで、今年もまた咲き出しました。 …

フェノロサとコンドル、そして天心と暁斎

若きフェノロサがもっと若い岡倉天心を従えて精力的に日本美術の再発掘をするのと同じように、同年輩のコンドルは狩野派の絵師にして浮世絵や戯画までこなす河鍋暁斎の弟子になり、日本文化の虜になります。お雇い外国人二人の来日は共に25歳。青年として来…