ツクシとスギナ(土筆と杉菜)

 「スギナの胞子茎がツクシ」というのがツクシとスギナの関係。スギナ(杉菜)はトクサ科トクサ属のシダ植物で、春先に出る「胞子茎」がツクシ(土筆)。スギナはツクシが枯れた後に芽を出し、草丈は30~40cmになり、中空の円柱状で、節で輪生状に多数分岐します。スギナは栄養茎として養分の調達を、ツクシは胞子茎として繁殖をそれぞれ分担しています。

 子供の頃、ツクシを採って、食べたことが思い出されます。ツクシはスギナにくっついて出てくることから「付く子」、袴の部分で継いでいるように見えることから「継く子」。また、ツクシは土から出てきた胞子茎が伸びきる前は先端まで「袴」に覆われていて、その形状が「筆」に似ていることから、「土筆」という字が当てられたようです。

 スギナは胞子とともに地下茎でも繁殖する。春に胞子茎を出し、それが枯れると、光合成を行う栄養茎が伸びてきます。栄養茎は節で枝分かれし、内部は中空。私たちが見ているスギナは、実はこの枝分かれした茎であり、葉は退化し、節の部分に鞘状になっています。ツクシの胞子の入った袋は胞子嚢と呼ばれ、それをつける茎が胞子茎で、花が咲く植物の花茎にあたります(シダ植物は胞子、種子植物は種子で殖える)。