2025-01-01から1年間の記事一覧

ミサが醸し出す愛とエロティシズム

今年はクリスマスに教会に行くことができなかった。築地の教会ではなく、隣の聖路加病院に用があったためである。数年前に書いたミサについての雑念のようなものが思い出され、それを一部手直しして再録してみたい。 カトリック教会のミサで異教徒の私が心中…

キンギョソウの花たち

花が金魚に似ていることから命名されたのが金魚草。見た目は繊細でも、暑さにも寒さにも強い性質をもち、地中海沿岸の南ヨーロッパから北アフリカに自生している。キンギョソウは鮮明な色彩で色幅のバラエティに富み、これから春ににぎやかさを感じさせる花…

師走の運河のオオバンたち

12月の16日と22日に運河のオオバンたちについて記しました。サギやカモとは違って、水の中を泳ぎ、愛嬌のある行動が目立ち、頭を振りながら泳ぐ黒い鳥は親しみが持てる鳥でもあります。額だけが白いオオバンは全長40cm程で、「キュイッ」と鳴きます。「水鶏…

悲しみの表現

既に「男女関係のモラリティの例」で述べたように、イングリッド・バーグマンは1950年にロベルト・ロッセリーニが監督するイタリア映画『ストロンボリ』に主演し、二人は共に既婚者であったにもかかわらず、不倫関係を持つようになる。この不倫関係とその後…

男女関係のモラリティの例

フランソワーズ・サガンの『ブラームスはお好き』(Aimez-vous Brahms?、1959、朝吹登水子訳、「世界文学全集」新潮社、1960年、河野万里子訳、新潮文庫、2024年)のあらすじは次の通り。パリに暮らすインテリアデザイナーのポール(主人公の女性の名前)は…

ナリヒラヒイラギナンテン(業平柊南天)の黄色い花

ナリヒラヒイラギナンテンはホソバヒイラギナンテンの近縁種で、ヒイラギナンテンよりも随分と葉が細い。「ナリヒラ」は平安時代の在原業平に由来すると思われる。 「業平」、「柊」、「南天」が合体したのがナリヒラヒイラギナンテン。ヒイラギナンテンは、…

夜明け前の空

昨日の薄明の空はとても雄大で、印象的だった。東雲の頃の空は「夜明け前」の空であり、一瞬に近い光景が広がり、つい寒さを忘れて見入ってしまった。非凡な薄明から平凡な朝への変化は、これまた非凡である。 夜明け前 変わり続ける 色変化 有明の空 何の予…

ネメシア・ベリーピンクの花たち

ネメシア・ベリーピンクは育てやすい宿根ネメシアの品種。美しい花色とほのかな香りがネメシアの特徴です。コンパクトな草姿で、花壇や寄せ植えに使われます。 画像のように美しい花色で、花壇や寄せ植えに彩りを与えます。咲き始めは色が濃いのが特徴です。…

師走のケイトウの花

ケイトウ(鶏頭、鶏冠、セロシア)はヒユ科の一年生植物。ケイトウの花に見える部分は花ではなく、花は隠れるようについています。アジサイやカラーなどと並んで、ケイトウの花もその「隠れ花」タイプです。昭和世代の私にはトサカのようなケイトウが記憶の…

師走のドウダンツツジの紅葉

背の低いドウダンツツジの生垣が見事に紅葉している。湾岸地域には様々なツツジが植えられていて、春から初夏にかけて様々な花を楽しむことができるが、秋には紅葉するツツジも多い。特に、ドウダンツツジの葉はニシキギの葉のように真っ赤に変色する。 子供…

セネシオ エンジェルウィングスの葉

キク科のセネシオ エンジェルウィングスはシロタエギク(白妙菊)の仲間です。でも、シロタエギクのような細かい切れ込みがなく、平たい大きめの葉っぱで、白いフェルトのような葉をもつシルバーリーフプランツです(画像)。寒さに強く、大きな葉はとても魅…

都営団地の「ミカン類」

辰巳団地の建て替えが進み、ゆっくりとだが、昭和の団地は令和の団地に変わりつつある。とはいえ、団地内にはまだ昭和の雰囲気がしっかり残り、その一つが団地のあちこちにあるミカンの大きな木だと記しました。多くは10mを超え、その実が色づき、冬の間実は…

私の使う「紅葉」の意味

「紅葉」の漢字は「紅」と「葉」だが、英語では「autumn leaves」で、今の多くの日本人は秋の葉の色が赤や黄色に変わることを紅葉と思っているだろう。そして、紅葉は秋に葉が赤くなるだけでなく、様々な色合いでそれが起こることから、複雑な色変化を自然に…

クリスマスのパンジーの花

パンジー(Pansy)は北ヨーロッパ原産の園芸品種で、スミレ科の耐寒性一年草。別名は「サンシキスミレ(三色菫)」や「三色すみれ」、「ガーデンパンジー(Garden pansy)」など。街や公園の花壇や店先や民家のプランターなど、日当たりが良い場所で、9月~…

歌は世につれ、世は歌につれ:再訪

昨年似たタイトルで「恋人よ」や「モルダウ」の背後の話をしたのだが、師走にはいずれの曲も妙に聴きたくなるのが老人の癖になってしまった。 時を超えて歌い継ぎたい歌があれば、音や歌を通じて語り継ぎたい歴史もある。「師走は第9」なのだろうが、私が師…

師走のアゲラタムの花

アザミによく似た花をつけるのがアゲラタム。淡いブルー、紫、そして白の花色をもち、ふんわりとしたソフトな質感をもっています。アゲラタムは丈夫で花期が長く、分枝して次々と花を咲かせながら、こんもりと茂ります。草丈15cmくらいの矮性種から80cm近い…

師走のレースラベンダーの花

シソ科のレースラベンダー(Lavandula multifida)はラベンダーの一種で、別名は「ファーンリーフラベンダー」、「ムルチフィダラベンダー」。地中海西部沿岸のイタリアやスペインに分布しています。海岸の砂礫地に生え、葉は灰緑色で、「シダ」のような羽状…

師走のダリアの花

キク科のダリア(Dahlia pinnata)の別名は「テンジクボタン(天竺牡丹)」。その名前が示すのは日本のダリア栽培の長い歴史で、1841年の『百花培養集』にダリアについての記載があります。 ダリアはキク科の草、ダリアに似たボタンはボタン科の木です。ダリ…

師走のキンカンの実

ミカン科のキンカン(金柑、Citrus japonica)の別名はキンキツ(金橘)、ヒメタチバナ(姫橘)。果実は球形か短卵形で、今は黄金色に近づいています(画像)。果実は小粒で甘酸っぱく、ほろ苦い後味が残ります。キンカンは果皮のまま食べることができ、皮を…

老人と『月に吠える』

「月に吠える」と聞くと、若者たちはロックバンドのヨルシカの楽曲を想起するのではないか。その元の『月に吠える』は萩原朔太郎(1886-1942)の第一歌集。1917(大正6)年、感情詩社・白日社出版部共刊で56編を収録。朔太郎はこの詩集で自らの心象風景を口…

師走のナガコガネグモ

湾岸地域でも夏から秋にかけて時々見ることができるのがナガコガネグモ。今年もジョロウグモと並んで私を存分に楽しませてくれた。産卵を迎えるジョロウグモの姿は秋の豊穣を示していて感服するしかなかったが、クリスマス近くになってナガコガネグモと遭遇…

アオキの赤い実

初雪の便りを聞くと、雪の積もった白い庭のアオキやナンテンの赤い実が思い出されてなりません。アオキ(青木)はアオキ属の常緑低木。和名の由来は、常緑で枝も青い(緑)ことから。葉は大きいものでは20cm程度になります。その実は卵形の液果で、秋から冬…

二つのネズミモチの実

湾岸地域にはネズミモチとトウネズミモチが多く、二つはとてもよく似ている。だが、葉を光に透かして見ると、違いがはっきりする。ネズミモチの葉はかなり分厚く、葉の裏から陽に透かしてみても、葉脈が殆ど見えないが、トウネズミモチは綺麗に筋が見える。…

運河の水鳥、魚たち

これまで何度か東雲運河の水鳥たちについて記してきた。どの水鳥たちも冬至を元気に迎えているようである。運河は意外に多くの鳥たちが飛び交い、生き生きとしている。運河とその周辺はそもそも埋め立て地で、全く人工的なのだが、いつの間にか豊かな自然を…

運河のオオバンたち:補足

5日前にオオバンについて記したが、冬至でも彼らは元気である。頭を振りながら泳ぐ黒いオオバンは全長40cm程である。「水鶏」と書いて「クイナ」と読むが、クイナの仲間は水辺の草やアシの中に棲んでいる。オオバンもクイナの仲間で、その中ではいちばん大き…

長寿のジニア(ヒャクニチソウ)の花

テンニンギクの次の菊はジニア、あるいはヒャクニチソウの花で、こちらは冬至でもまだ元気に咲き続けている。 テンニンギクと同じキク科のジニア(ヒャクニチソウ、Zinnia elegans Jacq.)の和名は「百日草」で、開花期間が長いことによる。また、花の寿命が…

テンニンギクの花たち

昨日「冬のキクの花たち」で菊の花について記したが、その続編である。 キク科のテンニンギク(天人菊、Gaillardia pulchella)の別名は「特攻花」、英語名は「firewheel、indian blanket、rose-ring gaillardia」とたくさんある。明治時代に渡来し、観賞用…

冬のキクの花たち

桜と菊は日本人には事実上の国花。春の桜に対して、秋を代表するのが菊。鎌倉時代の初めに後鳥羽上皇が菊の花を好み、「菊紋」を皇室の家紋にし、それが菊の好まれる第一歩となり、それ以来、菊は高貴な花とされ、ベネディクトの『菊と刀』に結びつく。 多く…

アオサギの存在

「君たちはどう生きるか」の英語のタイトルはThe Boy and the Heron。heronはサギだが、映画では日本でよく見られるサギで、体色は灰青色であることから、アオサギと推測できます。 サギ科のアオサギ(Ardea cinerea、Gray Heron)の生息域は広く、ヨーロッ…

クランベリーハイビスカスの色

アオイ科のクランベリーハイビスカス(Hibiscus acetosella)の別名は「ハイビスカス・アセトセラ」、「フォールス・ローゼル」。アフリカが原産地の低木で、アフリカの野生の「ハイビスカス」の雑種と考えられています。熱帯アフリカに広く分布し、アンゴラ…