2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ジャノヒゲの実

「ジャノヒゲ(蛇の髭)」と聞くと、蛇に髭があったかどうか訝る人が多いのではないか。ジャノヒゲは東アジアからフィリピン、日本に広く分布する、キジカクシ科ジャノヒゲ属の常緑多年草。ジャノヒゲの葉が能面の「尉(じょう)面」の顎鬚(あごひげ)に似…

神仏習合:霊魂

怨霊や悪霊となれば、古式神道を思い起こす人が多いのではないでしょうか。でも、ヨーロッパの哲学や宗教でも霊はよく登場します。中でも、アリストテレスの『霊魂論』(De Anima、On the Soul)は命、心、霊魂に関するよく知られた著作です。これは古代ギリ…

スノードロップの花

スノードロップ(snowdrop)はガランサス、待雪草(まつゆきそう)、雪の花(ゆきのはな)、雪の雫(ゆきのしずく)とも呼ばれる。スノードロップは白い下向きの花を1輪咲かせ、春を告げる花として人気がある。スノードロップの原産地はヨーロッパ。 花は3枚…

バラのつぼみと薔薇の名前

「バラのつぼみ」は映画「市民ケーン」で主人公のケーンが死を迎える際に呟いた言葉。「バラのつぼみ」の正体を探るために、ニュース映画の記者トンプソンが調べ出す。「バラのつぼみ」はケーンが子供の頃に遊んだソリに書かれていたものであることが映画の…

ボケの花

ボケ(木瓜)はいつも春を待ちきれずに咲き出すが、今年も既に花をつけている。ボケはバラ科ボケ属の落葉低木。ボケは中国原産で、日本に自生しているクサボケとの交配種や自然交雑種もある。江戸時代から庭植えや盆栽として栽培され、多くの品種がある。最…

祖父の「耳なし芳一」

*小泉八雲の『怪談』に「雪女」と共に入っているのが「耳無芳一の話」(The story of Mimi-nashi-hoich)(戸川明三訳、青空文庫で読むことができる)。 妙高では新井小、新井中が共にコロナ感染者のために休校とのことで、A君は祖父から話を聞く十分な時間…

クリスマスローズの花

キンポウゲ科の植物で、育てやすいことで人気のあるのがクリスマスローズ。少し前まで湾岸地域でもよく植えられていたが、最近は見かける機会が減った。毎年花を咲かせる多年草の植物で、寒さに強く育てやすい。ヘレボルスが正式名称で、別名は「雪起こし」…

祖父の「雪女」

今年のように雪が多いと、雪女伝説を思い出す人が多いのではないか。雪に埋もれた家で、炬燵に入り、小泉八雲の「雪女」を読みながら、中学生のA君は祖父の奇妙な解説に不思議な気分になっていた。祖父がへそ曲がりであることは小さいころから知っていたので…

ノゲシの花

まだ1月なのにもうノゲシの花が咲いている。だが、湾岸地域では珍しいことではなく、日当たりの良い場所ではノゲシの花がよく見られる。別名はアキノノゲシと区別するためハルノノゲシで、キク科の越年草。日本には縄文・弥生時代に「史前帰化植物」として入…

カリンの実

既に何度も触れたのですが、我が家の近くにはカリンの木が幾本もあり、一年の多くの間実をつけています。さすがに今の季節になると、ほぼその実は姿を消すのですが、それでもしぶとく残っているものがあります。それが晴れた、厳しい寒さの中で、妙にくっき…

神仏習合:七福神

(これまでClub Myokoで七福神(1)と七福神(2)と分けて掲載したものを修正し、まとめたものです。) 七福神めぐりは七つの災いを除き、七つの幸福を与える神々を元旦から七草までに巡り、幸福を祈る行事です。江戸時代の文化文政頃、谷中の七福神に始ま…

神仏習合:七福神(2)

七福神は江戸の町で生まれた混淆的、習合的な民間信仰です。江戸の人々は神、仏の本来の姿を離れ、自分たちに役立つ仕方で、自由に神や仏を改造するのですが、その傑作となるのが七福神です。では、なぜ江戸の町で七福神信仰が流行したのでしょうか。江戸時…

オウバイモドキの花 

正月が過ぎ、冬枯れの季節になり、常緑樹の多い湾岸地域でも寒々しています。そんな風景の中で、蔓のように枝を垂れ下げ、緑色の葉をつけたままなのがオウバイモドキです。オウバイモドキはオウバイの近縁種で、別名ウンナンオウバイ(雲南黄梅)です。名前…

ハボタン (葉牡丹)

湾岸地域の公園や歩道の花壇にはハボタンがよく植えられています。ハボタンはもともとキャベツなどの野菜の仲間で、キャベツやケールの改良種です。葉の姿がボタン(牡丹)の花のように見えるためこの名前が付きましたが、別名は「ハナキャベツ」で、両方とも…

神仏習合:七福神(1)

七福神めぐりは七つの災いを除き、七つの幸福を与える神々を元旦から七草までに巡り、幸福を祈る行事です。江戸時代の文化文政頃、谷中の七福神に始まるといわれ、特に明治末年から昭和の初めに都内の各所で盛んになりました。私が住む江東区では昭和45年に…

カンツバキの紅い花

ヤブツバキ(藪椿)はツバキ科ツバキ属の常緑高木で、原種は紅色の五弁花で、冬から春に開花します。そのツバキの変種には越後のユキツバキ(雪椿)や、茶人が好むワビスケ(侘助)などがあります。また、同じツバキ属にはサザンカ(山茶花)があり、サザン…

神棚と仏壇

私が5、6歳の頃に住んでいたのは建ってから既に100年近く経った家で、台所や茶の間は梁が直接見え、囲炉裏があったため台所の天井は黒く煤けていました。茶の間には柱時計より高い位置に神棚があり、座敷には仏壇が置かれていました。子供にもわかる神仏習合…

終末時計

終末時計(Doomsday Clock)はアメリカの『原子力科学者会報(Bulletin of the Atomic Scientists)』が定期的に発表しているもので、核戦争などによる人類の終末を午前0時とし,その終末までの残り時間を「あと何秒(分)」という形で表示しています。終末…

プリムラ・ジュリアンの花

園芸種のプリムラ・ジュリアンはとても小さな姿をしていますが、花自体は小さくないので存在感があります。葉は濃緑色で、先端がつまったような感じのヘラ状の形をしています(画像)。以前は室内鉢花として販売されていましたが、冬~早春の花壇や寄せ植え…

佐渡金山の世界遺産登録:最近の経緯から

佐渡金山は17世紀に世界最大級の金を産出し、金採取から精錬までを手作業で行っていた時代の遺跡として唯一のものです。文化審議会は昨年12月28日、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界文化遺産の候補として「佐渡島の金山」を選びましたが、文化庁は「…

スイセンの花の変化

スイセンは彼岸花(ひがんばな)科。開花時期は12月中旬から4月末までと長く、正月前後にはすでに咲き出し、湾岸地域でもあちこちでスイセンの花を見ることができます。最もよく見かけるのは白い花の中心部が黄色の「日本水仙」。そんな日本水仙の中に花も中…

さいの神

マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(Martin Luther King, Jr.)は「I Have a Dream」(私には夢がある)と呼びかけましたが、私には既に大した夢はないのですが、それでもまだ残る僅かな記憶と、その記憶から生まれる知りたいことがあるのです。 まず…

ソシンロウバイとマホニアの黄色い花

東京がよく晴れると、私のふるさと妙高は雪である、と言うのが冬の天気の通り相場。昨日の東京はよく晴れ、青空に黄色い花のコントラストが見事だった。ソシンロウバイは1月16日に紹介したが、画像の花は有明埠頭近くのもので、満開の花が青空に映えていた。…

神仏習合:盆と正月

正月に家々に迎え祭る神は年(歳)神。その起源は不明ですが、冬至から立春までの間、あの世から霊が訪れてきて、人々に幸福を与えてくれるという信仰に基づいています。稲作が広がるにつれて、稲はもっとも重視され、その成育過程を人間生活の1年に当てはめ…

梅の花

正月が過ぎたばかりなのに、既に梅の花が咲き出しています。しかも、その枝にメジロが来ています。残念ながら私のスマホでは画像を残すことはできませんでしたが、久しぶりに「梅に目白」を見ることができました。 ところで、「梅に鶯」は二つのものが調和す…

神仏習合:門徒、氏子、そして市民

前回の話によれば、市民は不誠実な門徒、氏子だということになるのですが、それこそが日本の神仏習合の特徴ではないかと言うのが私の考えです。それを今回は述べてみます。 親鸞が「神祇不拝」と言い、末法の世の「真俗二諦」を否定することに関心を寄せる人…

リナリア(Linaria)の花

リナリアは春から初夏にかけてキンギョソウ(金魚草)を小さくして咲かせたような花を咲かせるシソ目オオバコ科リナリア属の半耐寒性一年草です。そのためか、別名はヒメキンギョソウ(姫金魚草) です。 リナリアはヨーロッパ、北アフリカ、アジアの温帯地域を…

神仏習合:親鸞の神祇不拝

「神祇」は天神地祇(てんじんちぎ)の略で、天神は「あまつかみ」と呼ばれ、天上で生まれ、あるいは天上から降(くだ)った神のことで、地祇は「くにつかみ」と呼ばれ、地上に天降った神の子孫、あるいは地上で生まれた神のことです。「神」は「天神」を、…

ソシンロウバイ(素心蝋梅)の花

ソシンロウバイは中国中部原産で、日本には15世紀初頭に渡来したロウバイの変種。「蝋」は蝋細工のように見える花の姿から、また梅と同じ早春に花を咲かせることから「梅」がつくが、バラ科の梅の一種ではなく、ロウバイ科の落葉低木。そのロウバイの花は中…

国歌、軍歌、それとも鎮魂歌、はたまた準国歌?

(同じタイトルでこれまで3回にわたって書いたものを加筆修正したものです。) (1) 「君が代」や「海行かば」に対してこんなタイトルをつけて扱うのは何とも不遜で、無礼な気がするのは私だけではない筈です。とはいえ、このタイトルは私が二つの曲につい…