終末時計

 終末時計(Doomsday Clock)はアメリカの『原子力科学者会報(Bulletin of the Atomic Scientists)』が定期的に発表しているもので、核戦争などによる人類の終末を午前0時とし,その終末までの残り時間を「あと何秒(分)」という形で表示しています。終末時計が最初に発表されたのは1947年で、当初は核兵器の脅威を念頭に終末時計が決められていました。2007年からは気候変動の脅威も含まれるようになりました。今年も会見で「終末時計は(人類滅亡まで)100秒です」と発表されました(https://thebulletin.org/doomsday-clock/faq/)。最近の持続可能性を探る様々な試みにとっては、この終末時計はとても悲観的な予測を表していることになります。  

 私は1947年生まれですから、終末時計は私の寿命も刻んでいるようにも思えるのですが、これはよく考えると、どうも誤りのようです。時計がつくられ、制定されたのが1947年で、その時計が刻む時間が終末時計です。時計が刻む時間と、時計を刻む時間の違いと言えばいいのかも知れません。私の年齢と同じなのは終末時計を刻む時間で、時計が刻む時間ではありません。終末時計が刻む時間のなかではこの3年間同じ100秒ですから、私もこの3年間100秒の生存時間しかなかったことになるのです。つまり、終末時計は一様な変化ではなく、私たち次第で、変幻自在の変化をするのです。