2025-05-01から1ヶ月間の記事一覧
私が生まれた家の裏庭に群生していて、祖母が愛用していたのがドクダミ(蕺草、蕺)。別名はドクダメ(毒溜め)、ジュウヤク(十薬)、ジゴクソバ(地獄蕎麦)などで、どの名前も民俗学的妄想を大いに掻き立ててくれる。ドクダミ全体に独特の香りがあり、子…
ケシの花と聞くと、まだ熟していない果実の乳液からアヘンをつくる植物を想起してしまうが、道端に咲いているナガミヒナゲシにアヘンの成分はない。 ナガミヒナゲシは「長実雛罌粟」と書いて、「実(み)が長く可愛いケシ」として命名された。それにしても「…
サンスベリア トラノオの別名は「トラの尾」で、縞模様のある剣のような形の葉はインテリア性が高い観葉植物で、誰もが一度はどこかで見たことのあるものです。このトラノオは空気清浄効果があるため、エントランスや室内等に置かれることが多く、現在の私た…
ベルケアパープレア(学名Berkheya purpurea)はキク科の常緑多年草で、南アフリカ原産。花はキク科だとわかるのですが、その全体の姿は野生的で荒々しく、南アフリカの自然の中で生きる植物だと納得させるものです。ベルケアパープレアはトゲトゲの多い株か…
湾岸地域にはアキグミが意外に多いのですが、剪定のし過ぎなのか、春の花も少なく、秋の実もあまり期待できそうにありません。アキグミはグミ科グミ属の落葉低木で、東アジアからヒマラヤにかけて群生しています。葉の裏は白い鱗片が密生し、風にひらめき、…
ブラシノキは「ブラシの木」のことで、花の形がビン洗いの円筒形のブラシそっくりです。私などは堅いブラシを想像して、そのブラシの中に飛び込む昆虫や鳥は勇気があると思ってしまうのですが、それは素人の誤解のようです。 フトモモ科のブラシノキの花期は…
「ブラックベリー(Blackberry)」は木とその果実の両方を指しています。狭義には栽培種セイヨウヤブイチゴ(西洋藪苺)のこと。米国中部が原産で、落葉半蔓。開花期は今頃で、結実期は7月から8月上旬。果実は生のまま食べることもありますが、ジャムにして…
エキノプシス属の大豪丸の花を偶然に見ました。その原産地はボリビア、パラグアイで、春から花が開くようです。大豪丸は大きな大輪の花を咲かせるサボテンで、日本では大正時代から育てられてきました。 「綴化(せっか、てっか)」は植物の花や葉、茎が生え…
ポピーマロー(Callirhoe involucrata)の英語名はWine cupで、花はカップ型です。花びらは薄く、繊細ですが、濃いローズピンクの発色が見事です。ポピーマローは北米原産のアオイ科の多年草で、葉の形も素敵です。 ポピーマローのポピーはあのポピーで、マ…
アシナガバエはアシナガバエ科に属する生物種の総称で、画像は名前のように脚が長い種です。アシナガバエの仲間は多様で似た種類が多く、研究が遅れている分類群で、ハエと呼ばれていても、分類学的にはアブに近い仲間です。ですから、画像はアシナガバエの…
5月になり、草地にはニワゼキショウの仲間たちの花が溢れていました。小さい花のニワゼキショウやオオニワゼキショウはアヤメ科ニワゼキショウ属の一年草で、アヤメの仲間です。ニワゼキショウには6枚の花びらがあるように見えますが、花びらは3枚で、残りの…
アヤメ科のディエテス ビコロル(Dietes bicolor、英名African iris)の花を久し振りに見ることができ、心が躍りました。日本では花ではなく、細長い葉が華道で使われるようです。原産地の南アフリカでは広く栽培されていて、公園や公共施設、道路脇などに植…
多年草で、少し切れ込みのある葉の形と、独特の色彩をもつのがティアレラ(Tiarella)。花は淡いホワイトピンクの小さな花が総状に集まって初夏に咲きます。寒さに強く、秋から冬のガーデニング・シェードガーデンに適しています。多年草で、ガーデニング、…
ムクロジ科のハウチワノキ(羽団扇の木)は常緑の低木で、琉球諸島や小笠原諸島を含む世界中の熱帯および亜熱帯に広く分布し、複数の地域において伝統的に有用植物として利用されてきました。「ハウチワノキ」という名前は蒴果の両側にうちわ状の翼が見られ…
擬似科学概念(pseudo scientific concept)は私たちの生活世界を支えている重要な概念です。その代表的な例が生物の名前であり、「ビヨウヤナギ」も「キンシバイ」もその一つです。擬似科学概念は常識概念(folk concept)ではありません。学名は擬似科学的…
ハナミズキとヤマボウシの花はよく似ています。どちらも属が同じなので、似ているのは当然なのですが、ハナミズキはアメリカ原産、ヤマボウシは日本固有の植物です。では、なぜ太平洋を挟んだアメリカと日本とに同じ属の植物があるのでしょうか? この謎の解…
早春の野草なら、フキノトウが浮かびます。それと同じように、雪の下で春を待っている薬草がノビル。ノビルは漢字で「野蒜」と書き、ネギの古い名前である「蒜」が使われています。畑の蒜(ネギ)に対して、野の蒜で、野蒜です。根の部分にタマネギのような…
クワガタソウ属(Veronica)のオオカワシヂャについて昨年何度か記しました。オオカワヂシャ(大川萵苣)はヨーロッパからアジア北部が原産で、特定外来生物として定着しています。オオカワヂシャは川辺や水路に群生し、オオイヌノフグリとよく似た花をつけ…
5月も終わりに近づき、アキニレの葉が緑を増す中、何気なくその葉を見ると、葉に赤い実がついている。それが幾つもあって、何とも美しく、惹きつけられ、見入ってしまった(画像)。だが、葉に実がついているとは理不尽なことであり、しっかり観察することに…
ベニシジミ(紅小灰蝶)は褐色の地に明るいオレンジ色のシジミチョウ。前翅のオレンジの部分に黒い斑点が入り、後翅は褐色の部分が大きい(画像)。翅の縁は白っぽくなっており、裏面は灰色。春から見られるが、夏秋にかけて色がだんだんと濃くなっていく。…
オスは白い粉をふき、うすい水色。メスは黄色っぽくムギワラトンボと呼ばれ、老熟すると薄く白い粉を吹きます。幼虫はミジンコやボウフラなどが、成虫は昆虫などが食べ物です。シオカラトンボのオスは青白く、眼の色は青色、オオシオカラトンボのオスは青み…
バラ科のリンゴで、洒落た名前がついていますが、北海道~本州中部以北、サハリン、中国東北部、朝鮮半島などに分布するイヌリンゴ、エゾノコリンゴなどをもとに作られた園芸品種です。 日当たりが良い場所を好み、高さは5メートル程度で、赤い花と赤い実と…
アシナガバエはアシナガバエ科に属する種の総称で、名前のように脚が長い種を多く含んでいます。ハエと呼ばれても、分類学的にはアブに近い仲間です。こうした不適切な名前は既に何度も記してきました。 アシナガバエはすらっとした体に透明感のある体色で、…
ホタルブクロ(蛍袋)はキキョウ科の多年草。今釣り鐘状の花を咲かせています。和名の「ホタルブクロ」は子どもが袋のような花にホタルを入れて遊んだことに由来します。また、「火垂る袋」が提灯を意味することから、「チョウチンバナ」が別名です。さらに…
1か月ほど前にキキョウ科のルリミゾカクシ(瑠璃溝隠)について記した。花形が蝶のような形に見えることから別名がルリチョウソウ(瑠璃蝶草)で、属名から「ロベリア」とも呼ばれている。ルリミゾカクシの原産地は南部アフリカのマラウィ、ナミビアから南ア…
高山寺の明恵は「阿留辺畿夜宇和」という言葉を残しています。「ありのままに」は現状をそのまま受け入れるのに対し、「あるべきようは」は本来あるべき理想像を問いかけ、それを大切にすることを教えています。そんな明恵の歌に次のものがあります。 あかあ…
フウロソウ科 テンジクアオイ属のハナテンジクアオイ(花天竺葵、ゼラニウム)はモンテンジクアオイ(Pelargonium zonale)とテンジクアオイ(Pelargonium inquinans)の交雑種で、別名はゼラニウム。ハナテンジクアオイという時代がかった名前より、ゼラニウ…
今の湾岸地域の野原には花が溢れ、足元にはドクダミやカタバミが咲き、芝生の間にはニワゼキショウが顔を出している。その中にキキョウソウとヒナキキョウソウの花が咲き、江戸紫の花色が私を惹きつける。どれも小さな花で、腰を屈めると、彼らの小さな生活…
モナルダは不思議な印象を与える花で、人々の眼を捉える。きっとモナルダの強かな計算なのだろう。花の形から「タイマツバナ」とも呼ばれるように、鮮明な色の花が盛り上がるように咲き、苞も同じように色づく。こうなるとそれに惹きつけられる動物は抵抗で…
5月20日の「クワの実」で、マグワ(真桑)について記しました。クリに「山の栗」と「屋敷の栗」があるように、クワにも「山桑」と「真桑」があると述べました。ブナ科のクリと同じように、クワ科のクワもヤマグワ(山桑)とマグワ(真桑)に分かれます。 栗…