ホンアマリリスとネリネの花

 アマリリスヒガンバナ(別名が曼珠沙華)がよく似ていると思う人は少ないだろう。だが、アマリリスとホンアマリリスは似ているし、ヒガンバナネリネも似ている。

 「ベラドンナリリー」が別名のヒガンバナ科ホンアマリリス属のホンアマリリスAmaryllis belladonna)は秋に咲く栽培種。一方、春に咲くアマリリスHippeastrum、英語Amaryllis)はヒガンバナ科ヒッペアストルム属。アマリリスは春に咲くものを思っているが、ホンアマリリスは秋に咲き、「本当のアマリリス」という意味でホンアマリリスという和名がついている。ホンアマリリスが本家で、アマリリスは分家という訳である。9月頃1~2本の花茎を伸ばし、ピンク色の芳香のある花を1房に10輪以上つける。

 一方、足元に咲く花はヒガンバナ彼岸花)より小ぶりなネリネの花。ネリネヒガンバナ科ネリネ属で、確かにヒガンバナによく似ている。ネリネ南アフリカ原産で、大正時代に渡来。ヒメヒガンバナとも呼ばれ、有毒だけでなく、姿形もヒガンバナによく似ている。欧米でもっぱら育種が行われ、花弁が宝石のようにキラキラと輝くことから「ダイヤモンドリリー」の名前で親しまれ、日本でも最近人気が出てきた。

 ホンアマリリスネリネはどちらもヒガンバナ科に属する球根植物で、形態や生態に共通点が多く、属間交配も可能。だから、画像もよく似ている。いずれも花期が夏から秋で、葉と花が同時に出ない(花後に葉が出る)、球根植物で、鱗茎を持つ、花は漏斗形で芳香がある、南アフリカ原産で乾燥に強いといった特徴を持っている。さらに、ホンアマリリスネリネは形態的にも似ていることが画像からわかる。

 こうして、アマリリスヒガンバナは似ていないのだが、アマリリスとホンアマリリスヒガンバナネリネはそれぞれ似ており、また、ホンアマリリスネリネも似ている。この結論は果たして正しいのだろうか。

*最初の二枚の画像がホンアマリリス、残りの二枚がネリネ

**属間交配種のアマリネは花がホンアマリリスの大きさとネリネの繊細さを併せ持ち、秋に美しい花を咲かせる。