初夏のベニシジミ

 ベニシジミ(紅小灰蝶)は褐色の地に明るいオレンジ色のシジミチョウ。前翅のオレンジの部分に黒い斑点が入り、後翅は褐色の部分が大きい(画像)。翅の縁は白っぽくなっており、裏面は灰色。春から見られるが、夏秋にかけて色がだんだんと濃くなっていく。ベニシジミの成虫の前翅の表は黒褐色の縁取りがあり、赤橙色の地に黒い斑点がある。後翅の表は黒褐色だが、翅の縁に赤橙色の帯模様がある。翅の裏は表の黒褐色部分が灰色に置き換わっている。時に白化する場合もある。

 身近なシジミチョウの仲間でも空地のような環境があれば簡単に見られるのがベニシジミヤマトシジミ。「蓼食う虫も好き好き」と言われるが、ベニシジミの幼虫はスイバなどタデ科のすっぱい植物だけを食べる。草地のシジミチョウは、雄が青、雌が黒い翅表をしたものが多いが、ベニシジミは雌雄ともに赤色である。鮮やかな赤と黒コントラストは美しい。幼虫の体色には変異があり,全体緑色のものや紅色の線が目立つものなどがある(画像のベニシジミは春型メス)。

 ヤマトシジミ(大和小灰蝶、大和蜆蝶)は小型で、北海道を除くと、どこでも見られる。翅の縁にそって二つずつの紋が並ぶ。前翅、後翅ともに翅の中央に小さな「く」の字の形をした模様がある。湾岸地域でもヤマトシジミはよく見られる。メスの翅の表は黒っぽく、青色の範囲はほんの少しなのに対し、オスは光沢のある青色で、翅の周りに細い黒の帯があり、飛んでいると輝いて見える(画像)。生き物の世界では、オスの方が綺麗な場合が多いが、ヤマトシジミも同様である。一方、翅の裏側はオスもメスも同じ。