花の集団は個々の花とは違う景色を持っています。誇張して、花一輪と花の風景とでも対比的に表現すれば、一つの対象と全体的な風景の違いがわかるのではないでしょうか。さらに、単なる集団ではなく、そこに方向や構造といった秩序を認めるなら、流動的な流れをもつ花たちが浮かび上がります。さらに、より情緒的な「サクラ吹雪」や「アカシアの雨」といった表現が描く状況や景色も浮かび上がってきます。そして、花の風景とは複雑怪奇、繊細微妙で、美的センスが試し、試される格好の存在となります。花の風景のミニチュアも生け花の一つなのだと言うと、生け花の師匠に怒られるかも知れませんが、集団美の追求が生け花にあってもおかしいことは何もありません。
団塊の世代の私が画像のような花を見ると、「団塊の花」と口走りたくなるのですが、見事な花の塊は、その姿に応じて私たちの想像力をかき立ててくれます。枝が垂れるほどに花が咲き落ちるユキヤナギやハーデンベルギアが今見事に咲き誇っています。いずれも団塊の花たちなのですが、花が流れ落ちる風情が見事に表現されています。それらは単なる花の集団ではありません。いずれの団塊も流動的な流れの風景となっています。
*マメ科のハーデンベルギアはヒトツバマメ属の観賞用の園芸品種で、茎は2mにも伸びる。