光沢のあるラナンキュラスの花

 ラナンキュラス ラックス(Ranunculus Rax)はラナンキュラスの異種間交配で生まれた品種。背丈が高く(50~80cm)、枝分かれするスプレー咲きであることが特徴。花弁の質感も異なり、シルクのような艶やかさがあり、光にあたるとキラキラと光り、咲き進むにつれてメタリックな質感が現れてきます。

 「ラナンキュラス ラックス」は私には呪文に近いのですが、「ハナキンポウゲ」は花の名前で、「キンポウゲ(金鳳花)」はどこかで聞いたことのある懐かしい花の名前です。でも、それはあくまで私の場合で、イタリア人なら私とは正反対に「ハナキンポウゲ」は呪文でしかなく、「Ranunculus Rax」はどこかで聞いた憶えのある名前に違いありません。

 ラナンキュラス ラックスというシリーズ名は花弁が光ることから名づけられたようですが、それは私が知っていたラナンキュラスとは違う花に見えました。花は一重から半八重で、花弁は光が当たると輝いているように見えます。それまでの私の中のラナンキュラスの花はダリアやバラに似ていました。

 一般的なラナンキュラスは地中海からイラン・イスラエル周辺の原種の遺伝子を持つアシアティクスという種類で、日本の夏の高温多湿や冬の寒風が苦手。そのため、バラやダリアによく似て華やかなのに、これまで普及しなかったのは管理の難しさが大きな理由でした。庭で栽培しやすい耐寒性を備えたラックスシリーズを作出したのは宮崎県の「綾園芸」草野修一氏。新品種の登場によって、ラナンキュラスは一躍、春のガーデンの主人公になりました。