ラナンキュロスの花姿態

 アネモネに似て、ラナンキュロスの花姿態も何とも艶めかしい。キンポウゲ科ラナンキュラスは幾重にも重なった花弁が魅力的な秋植え球根。最近は花の色や形が改良され、香りのよい品種が数多くつくり出されている。今年はその花姿が少なく、少々寂しい気がしていても、見事な色と形に暫し見惚れてしまう。

 現在「ラナンキュラス」と呼ばれているものは、中近東からヨーロッパ南東部にかけての地中海性気候の地域に分布するラナンキュラス・アシアティクス(Ranunculus asiaticus)を中心に改良された園芸品種で、花色が豊富で、八重咲きもあり、大きな花はボリュームたっぷりで、葉はキクの葉に似ている。

 ラナンキュラスの和名は「ハナキンポウゲ(金鳳花)」で、明治時代に日本に入ってきた。ラナンキュラスは花径10~15cmの大きな花を咲かせ、花弁は八重咲きのアネモネに似ているが、次第に大きな花が見られなくなっている。ところが、その代わりにラナンキュラス・ラックス(Ranunculus Rax) というシリーズ名の花が目につくようになった。それは最初私が知るラナンキュラスとはまるで違う花に見えた。ラナンキュラス・ラックスは異種間交配で生まれた新品種で、花は一重から半八重。花弁は光が当たると輝いているように見える(最後の画像)。光る花弁がワックスをかけたように見えることから、ラナンキュラスとワックスを合わせ、「ラックス」という名がつけられた。