陽光の花

 花見の主役ソメイヨシノに先駆けて、淡い赤紫色の一重咲きのヨウコウ(陽光)が満開を迎えようとしている。今年は昨年より開花が遅い。陽光は豊洲有明に意外に多く、日本原産の交雑種で、高岡正明がアマギヨシノ(天城吉野)とカンヒザクラ(寒緋桜)を交雑させて生み出した園芸品種である。戦前教員だった高岡は戦死した生徒たちの冥福を祈って各地に桜を贈ることを思い立ち、陽光を誕生させた。陽光桜とも呼ばれる。

 リンゴの「陽光」も有名だが、サクラの「陽光」もインパクトが強い。「桜の女王」とも呼ばれ、ソメイヨシノより早く咲き、花は一重で大輪、鮮やかなピンク色になる。つぼみは濃い赤紫で、開花すると鮮やかなピンク色になり、重厚な花は下向きに咲く。ウメの花は上向き、サクラの花は下向きと既に記したが、ソメイヨシノの花より重い陽光の花ははっきり下向きに咲く。

 そんな能書きより、青空の下の陽光の花たちは若く、力強く、ピンクの色も鮮烈で、賑やかに命の息吹を感じさせてくれる。