タブノキの雌花

 タブノキは北海道、青森、岩手を除いて全国に分布するクスノキ科の常緑樹。暖地の海岸沿いに多いが、公園や庭園に植栽されることもおおく、湾岸地域ではとてもポピュラーな樹木。また、日本書紀に登場するほど神事との関連が深く、「霊(たま)が宿る木」を意味する「タマノキ」から転訛したという説もある。

 タブノキは幹が真っすぐに伸び、樹高が最大30m、直径が3.5mにもなる。タブノキの開花は新葉の展開と同時期の4~5月頃。直径5ミリほどの黄緑色の小さな花が円錐状に群がって咲く。タブノキは雌雄同株であり、始めは花粉が目立たない雌花の性質を持つ。雌花の雌しべが退化すると、今度は花粉を出す雄花の性質を持つようになる(最後の画像)。その雄花が終わると一旦閉じた花が再度開き、膨らんだ子房(未熟な果実)が現れる。緑色の実は7~9月頃になると黒紫に熟す。