立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花

 タイトルは七七七五の都々逸の形式で、立っても座っても、また歩いても、姿が艶やかで魅力的な女性を花に譬えたもの。百合はまだだが、芍薬や牡丹が咲き始めている。

 ボタンによく似ているのがダリアで、メキシコの国花。ダリアは花の形がボタンに似ているため、和名は「天竺牡丹」。夏から秋にかけて開花し、大きな花輪と色鮮やかな花色と咲き方が特徴。ダリアの故郷はメキシコからグアテマラにかけての高地。日本には江戸時代末期にオランダより渡来。

 深川の古石場川も大横川と平久川をつなぐ木材屋用の掘割・運河だった。今ではその川を残し、かつての川辺は古石場川親水公園に生まれ変わっている。この公園には七つの橋があり、その一つ小津橋は小津安二郎を生んだ小津家に由来する。ボタン、アジサイ、バラが多く、牡丹側にはボタン園、平久川側にはバラ園がある。ボタンの開花時期は今頃からで、中国原産で、中国の国花。日本へは奈良時代に渡来したらしい。中国名の「牡丹」を音読みして「ぼたん」の呼び名になった。

 シャクヤク芍薬)はボタン科の多年草。初夏にボタンに似た花を開くのだが、今年は既に開き出している。シャクヤクは中国やモンゴルなど東アジアが原産で、日本へは平安時代以前に薬草として伝わり、その後観賞用として多種類の園芸品種が作られた。ヨーロッパへは18世紀前半に伝わり、イギリスやフランスを中心に品種改良が行われてきた。花は一重、八重があり、花色も様々。

*ボタンは樹木、シャクヤクは草。シャクヤクはボタンが咲き終えると、咲き出す。華やかな大輪の花を咲かせるボタンとシャクヤクも見分け方が難しい花である。ボタンの葉は光沢がなく、切れ込みが入っているが、シャクヤクの葉は光沢があり、切れ込みが入っていない。また、ボタンはほとんどの品種で香りがないが、シャクヤクはバラ風の香りがある。さらに、ボタンの花は花びらが1枚ずつ散り、シャクヤクの花は開花した状態で花の頭ごとそのまま下に落ちる(サザンカとツバキの違いに似ている)。

 ユリが風をうけて揺れる様子は、まるで女性が優美に歩いているようで、しなやかな茎の先にややうつむき加減に花が咲く。そして、風をうけて揺れる様子はまるで女性が優美に歩いているように見える。甘い香りは香水としても人気があり、こうした花のイメージから、女性の名前にもよく用いられている。

**画像はボタン、ダリア、シャクヤク、そしてユリ