カクレミノの葉と実

 既に何度かカクレミノ(隠蓑)について述べた。その概要は「葉は濃緑で光沢がある卵形の単葉で、枝先に互生する。花は6月から8月に咲き、実は長さ1cmくらいで先端に花柱が残り、晩秋に黒紫色に熟す。実の中には8mmほどの種が入っている。」であるが、そのカクレミノの実が黒紫色に熟した(画像)。

 カクレミノ(隠蓑)は、ウコギ科カクレミノ属の常緑樹。葉の形(3裂)が伝説上の「隠れ蓑」(着ると姿を消すことができる)に似ていることから命名され、別名も多い。カクレミノの特徴はその葉にある。成木の葉は濃緑で光沢がある卵形の単葉で、枝先に互生する(画像)。だが、芽生えたばかりの幼苗は切れ込みのない葉で、幼木では深く3~5裂し、5裂したものはヤツデに似ている。生長するにつれ、切れ込みは浅くなり、全縁の葉と3裂した葉が混ざるようになる。成木になると、卵形の葉だけに変身する。

 この葉の形の変化の説明は次のような適応シナリオが考えられている。暗い場所では下の葉にも光が当たりやすいように切れ込みのある形にした方が有利であり、光が十分当たる場合は厚くて面積の狭い葉をつける方が有利である。

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