ハコベホオズキ(繁縷酸漿)

 外来種は「外人」に似て、多様性を示すと同時に偏見や差別、対立や分断を想起させる。固有種と外来種のいずれが重要か、などと問われると、問題の動植物に応じてその反応は異なってくる。とりわけ、人間の場合となると、対応の落差は信じ難いものがある。大抵の場合、異なる条件に応じて、異なる解答が用意されることになる。

 夢の島公園には夢の島熱帯植物館があり、変わった外来の植物が多いが、植物館の中だけでなく、公園内にもユーカリアメリデイゴの大木が茂っていて、それが足元の雑草にも及んでいる。その雑草の一つがハコベホオズキ。茎が蔓のように地面を這い、他の植物を覆ったり、登ったりしてよく茂り、大群生する。小石川植物園で栽培されていたものが帰化の始まりとされている。物凄い勢いで繁茂する恐ろしい帰化雑草とされていて、実際夢の島公園のあちこちに群生している。

 「ハコベホオズキ」は文字通りハコベホオズキが合体した名前だが、花はいずれにも似ておらず、 ハコベの葉に似ているのが理由らしい。南米が原産で、野生化した帰化植物である。ナス科のハコベホオズキの葉は卵円形で互生し、先は円く全縁。花期は5月からだが、今も咲いている。

 危険な帰化植物と判定されるハコベホオズキだが、画像のように花は小さく可憐で、夢の島公園以外では見つからない。となると、「ハコベホオズキは危険か否か」はその植物を十分に知らない人には判定不可能な問いに思えてならない。

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