花芽ができると、葉に「成長抑制ホルモン」が作られ、それが花芽に移動し、葉は役目を終えて落葉。周りの環境が変化しても、成長が抑制された花芽はそのまま冬を越す。そして、この「成長抑制ホルモン」は冬の寒さによって壊され、春の暖かさで花芽が開花するというのが普通の変化。だが、成長抑制ホルモンが花芽に移動する前に台風などで葉が落とされると、成長抑制ホルモンは花芽に届かない。そこに異常な暖かさがやってくると、開花してしまう。つまり、成長抑制ホルモンが花芽に届かず、異常に暖かくなるという二つの条件が重なると、「狂い咲き」が起きる。
以前こんな話をエゴノキの狂い咲きとして記した。それと似たことが今回の話で、ボケ、カタバミ、ヘビイチゴあるいはヤブヘビイチゴの花についてである。咲き方のメカニズムに異常なことはなく、花自体は同じで、咲く時期が上記の理由で違うのが狂い咲き。ボケは暖冬のためか、冬でも花をよく見る。カタバミの仲間のオキザリスは晩秋から冬にかけて花をつける。ヘビイチゴが今頃咲くのも特に珍しくはなく、よく報告されている。ボケは木であり、葉が落ちていて、上の狂い咲きの話は納得できるが、カタバミやヘビイチゴはしっかり葉がついたままなので、抑制ホルモンが働かなくなる別の説明が求められる。
画像は連休中に偶然見つけたもので、カタバミとヘビイチゴ(あるいはヤブヘビイチゴ)が仲良く一緒に咲いていた。また、その近くではボケが花をつけていて、まるで早春のようで、呆け始めた私にピッタリの気温高めの小春日和だった。
*ヘビイチゴとヤブヘビイチゴは実をつけると違いが判るのだが、花からの判別は私にはできない。