「ふるさと」トリヴィア(4)

 「ふるさと」トリヴィア(3)で、一茶とふるさとの関わりを次の三句で示しました。

 

初夢に 古里(故郷)を見て 涙かな

故郷(古里)や よるもさわるも 茨の花

是がまあ つひの栖か 雪五尺

 

 信濃国柏原は今の信濃町柏原ですが、そこに生まれた一茶はいつも孤独でした。3歳で実母を失い、代わりにやってきた継母とはうまくいかず、15歳で柏原の生家を追われ、江戸で奉公することになります。一茶は52歳になって、ようやく妻や子どもと一緒に暮らすことになりました。でも、その幸せもつかのま、あいつぐ妻子との死別により、独りぼっちになります。ふるさとからも家からも閉め出された形の一茶の孤独は、現代人のもつ孤独とよく似ています。

 柏原は門徒の多い土地柄でした。一茶の家も代々真宗門徒で、両親も敬虔な門徒でした。親鸞が説く「自然法爾(じねんほうに)」は「あるがまま」を肯定することで、人為を超えた阿弥陀仏の力に一切の救済を任せ、他力本願で生きていくことです。門徒としての一茶の句には親鸞の他力本願の教えが色濃く滲み出ています。

 一茶の菩提寺は明専寺で、毎年11月19日には一茶忌が開かれ、昭和50(1975)年には境内に「我と来て遊べや親のない雀」の句碑が建立されました。