晩秋のジョロウグモ:再訪

 ジョロウグモは秋を代表するクモ。体長が雌雄で大きく違い、雌が35ミリ程あるのに対し、雄は7~8ミリほどしかなく、ジョロウグモは雌優位のクモです。雌の腹部には青色と黄色の幅広い横縞があります。ジョロウグモの網は金色で、網をつくるクモの中では最も複雑で、精巧。その網が幾つも張り巡らされ、網が陽の光の下で輝いています。

 ジョロウグモのメスは産卵のために卵嚢(らんのう)をつくります。産卵が終わっても、そこから離れることはなく、自分の脚をしっかりと糸に絡ませ、卵を守り続けます。卵を産み終えたメスは、膨らんでいた腹が萎み、すっかりその姿を変えます。産卵期のジョロウグモは腹部の色彩や模様が一層鮮やかになります。大きな腹部はジョロウグモの刺青のような見事な色模様をさらに強調しています。雌のジョロウグモの張り切った体は生と性が融合した姿で、命を引き継ぐ充実した時を感じさせてくれます。

 ジョロウグモの産卵期は晩秋で、卵で冬を越し、翌年の5月に孵化します。産卵後も卵を保護する雌の行動は子育てに熱心なジョロウグモの特徴を示しています。やがて、メスは老いて死んでいくと予想されるのですが、実証研究によれば、産卵後のメスはそのまま死ぬとは限らず、様々であることがわかります。

*クモの数え方は学術的には「頭」、日常的には「匹」