シクラメンの花

 サクラソウシクラメン属のシクラメンは地中海地方が原産で、多年草の球根植物。カガリビバナ(篝火花、牧野富太郎命名)とか、ブタノマンジュウ(豚の饅頭、大久保三郎が命名)と呼ばれたが、随分と今の印象とは異なる。シクラメンは明治時代に伝わり、戦後急速に普及した。団塊世代の私は「シクラメンのかほり」という歌を聞いて、シクラメンを知った。日本の冬の鉢植えの代表。開花時期は10月末から4月末までで、花びらは5枚あり、いずれも上に強くそりかえる。

 シクラメンは有毒にもかかわらず、塊茎のデンプンが食用とされていた。しかし、ヨーロッパにジャガイモがもたらされると、シクラメンを食用にする習慣はなくなった。戦後、急速に普及し、日本での品種改良が進められ、花色も黄色や二色、フリンジ咲き、八重咲きなどが登場。日本における鉢植え植物では生産量はトップクラスで、冬の鉢植えの代表格となっている。

*「真綿色したシクラメン」の「真綿」は今ではすっかり見なくなりましたが、子供の頃は真綿の入った衣服が珍しくなく、私には温かい白色でした。出会いから別れまでの歌詞はロマン主義風の言葉が並ぶためか、私のような老人にはちょっとした恥ずかしさが同居します。