シクラメンの花

 シクラメンサクラソウシクラメン属の多年草で、地中海地方が原産。明治末期に渡来。画像のガーデンシクラメンは耐寒性が高く、戸外で栽培できる品種。ガーデンシクラメンが初めて世に出たのは1996年。現在では冬を彩る花として広く普及しています。ガーデンシクラメンの花期は10月中旬~3月で、耐寒性のある原種のシクラメンを元に育成された小型のシクラメンです。

 私などシクラメンと聞くと、反射的に「シクラメンのかほり」(1975)が浮かんできます。「真綿色したシクラメンほど すがしいものはない 出会いの時の君のようです ためらいがちにかけた言葉に 驚いた様にふりむく君に 季節が頬をそめて過ぎてゆきました」から始まり、「疲れを知らない子供のように 時が二人を追い越してゆく 呼び戻すことができるなら 僕は何を惜しむだろう」と終る歌詞は何とも大正ロマン主義的です。

 シクラメンの最初の和名「ブタノマンジュウ」は「豚の饅頭」。シクラメンの球根は饅頭を潰した形で、豚や猪がその球根を掘り出して食べます。そのため、ヨーロッパでは「豚のパン」。それが訳されて「ブタノマンジュウ(豚の饅頭)」。二つ目の「カガリビバナ」は「篝火花」。九条武子がかがり火のようだと言ったので、牧野富太郎が「カガリビバナ(篝火花)」とつけました。

 シクラメンが「ブタノマンジュウ」、「カガリビバナ」だったなら、「シクラメンのかほり」の歌詞は随分と違ったものになっていたでしょうが、誰も歌詞そのものを書かなかった筈です。また、「シクラメンのかほり」が歌われる頃には画像のようなガーデンシクラメンはまだ登場していませんでした。

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