イガオナモミの「ひっつき虫」

 キク科のイガオナモミ(毬葈耳)はアメリカ大陸原産で、戦後に日本に帰化しました。茎は良く分枝し、短い棘が有ります。雌雄同株、雌雄異花の両性花で、葉腋から出る花序の上部に数花の雄花を、下部に雌花をつけます。花の後にできる果実(果苞)が熟すと、枝から剥がれて人間の服や動物の毛について遠くに運ばれるため、「ひっつき虫」と呼ばれてきました。

オナモミは強力な「ひっつき虫」で、ほぼどんな服でもからみついてきます。特に毛糸などには何重にもからみついてしまいます。でも、子供の頃の微かな記憶ではイガオナモミの実に比べると、その実はずっと小さかったように思います。昭和後期には既に外来のオオオナモミが、さらには画像のようなイガオナモミが増え、今ではオナモミ絶滅危惧種になっています。オナモミは農耕文化渡来とともに大陸から来た史前帰化植物です。戦後に「オオオナモミ」が帰化し、昭和の終わりごろには全国に広がりました。イガオナモミは昭和33年に東京都江東区で初めて採取され、今まさに分布域を急拡大中です。ハリセンボンのような棘だらけの実をもつイガオナモミオナモミの仲間の中では迫力ナンバーワンです。