カラーリーフのテイカカズラ

 テイカカズラ(定家葛)はキョウチクトウ科テイカカズラ属の有毒植物。6月頃に開花と言われるが、湾岸地域では既にあちこちで花が終わりに近づいている。花ははじめ白く、次第に淡黄色になり、ジャスミンに似た香りがある。花は7月頃いったん途絶えるが、その後新しい枝が伸びて、また開花する。解熱の薬効がある。

 テイカカズラの名前は謡曲の「定家」に由来する。式子内親王を愛した藤原定家が、死後も彼女を忘れられず、ついに「定家葛」に生まれ変わって彼女の墓にからみついたという伝説(能『定家』)に基づく。僧侶が夕立にあい、雨宿りで駆け込んだのが、歌人の「藤原定家」が建てた家。どこからか女性が現れ、語った。「藤原定家式子内親王を慕い続けていたが、内親王は亡くなってしまい、式子内親王を想う執心が葛となって内親王の墓にからみつき、内親王の霊は苦しんでいる。」僧侶の読経によって彼女は成仏できたが、このからみついた「葛」に「定家葛」の名前がつけられた。

 さて、カラーリーフの「ハツユキカズラ」は、そのテイカカズラから生まれた園芸品種。赤みのある新芽が出た後に、緑に白いまだら模様の入った葉が出てくる。最終的には濃い緑色の葉が茂り、赤・白・緑のコントラストを楽しめるようになる(画像)。『古事記』にもテイカカズラのことは記載されているくらいで、古くから親しまれてきた植物だが、その葉に色のついた斑が入るものがハツユキカズラ(初雪葛)である。

 ハツユキカズラは冬になってもカラフルな葉が生い茂るため、今ではガーデニングのアクセントとして人気がある。テイカカズラに比べると葉や節が小さく、成長も遅く、寄せ植えのベースに適している。湾岸地域の開発時に人気のあったテイカカズラにカラーリーフを持つハツユキカズラが加わったのを見ると、時間の経過を感じ取ることができる。

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テイカカズラ

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テイカカズラ

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