ヘクソカズラ(屁糞葛)の花

 猛暑にもまるで平気なのがヘクソカズラで、湾岸地域の植込みやフェンスのあちこちで花を咲かせている。ヘクソカズラはアカネ科ヘクソカズラ属の雑草。葉や実を揉んだり、傷つけたりすると悪臭がすると言われ、そのため、「屁糞葛」の名がある。中国では鶏屎藤(けいしとう)、英語でもSkunkvine(スカンクのつる草)。ヤブガラシカラスウリと同じように、どこでも逞しく茂る。1~1.5cmほどの釣鐘型の小さな花は外側が光沢のある白、中心部がボルドーカラーのような紫色をしている(画像)。

 「サオトメバナ」(早乙女花)という美しい別名もある。また、花の中心が画像のように灸を押しつけたような形をしていることから、ヤイトバナ(ヤイトは灸のこと)とも呼ばれる。開花時期は、7月上旬から9月中旬頃まで。秋になると、茶色い丸い実をつける。この実は薬効があり、下痢止め、肌荒れに使われる。また、ドライフラワーの花材としても人気がある。

ヘクソカズラの葉を揉むと、組織が壊れ、酵素の働きで悪臭を放つメルカプタン(メチルメルカプタン、メタンチオール)が出てくる。人間の体内でも生成され、おならや便の臭いの原因物質となっているのがこのメルカプタン。ヘクソカズラの場合、メルカプタンは細胞の中では他の物質と結合することによって臭わないでいるが、細胞が傷つくとこの結合が切れ、メルカプタンが生じる。虫が葉を噛むと、悪臭が発生し、虫は逃げていく。人間はメルカプタンに対する感度が非常に高く、そのため、ガス漏れ検知のためにガスの臭い付けにも使われている。人の臭力も捨てたものではない。

**上記*の説明が一般的なのだが、私はこれまでヘクソカズラの葉が臭いと感じたことがない。葉を揉んでみても悪臭を感じることなく、私の臭力は欠陥があるのかも知れない。そのため、色んな図鑑のヘクソカズラの臭いの記述を比べると、人の臭力の大きな幅を感じるのである。まずは自分の臭力をヘクソカズラで再度試してみる必要がありそうである。