今年のトベラの種子

 トベラが今の季節に示すとてもエロティックな姿には驚かされる。チャールズ・ダーウィンの祖父エラズマス・ダーウィンロマン主義文学とリンネの植物学がミックスされた自著『植物の園』(The Botanic Garden)がエロティックだと批判されると、リンネの分類学の本質がエロティシズムにあると反論している。

 トベラの果実はさく果で、果皮が3枚に割れて開き、中からたくさんの赤い種子が現れる。それが何とも艶めかしい。葉の緑色とのコントラストも実に鮮やか。種子はべたつく粘液に被われていて、粘液は果皮の内側から出ていて、舐めても甘くない。赤い種子はメジロなどの鳥類が食べるが、糖分の多い果肉を持つ液果ではなく、赤いのは表面だけで、中の大部分は白い胚乳。鳥たちはその見かけの容姿に騙され、操られているのかも知れない。

 トベラは雌雄異株で、私が二つの株を見比べる限り、実のつかない雄株の方が葉の色が濃く、雌株の葉の緑色は薄い。今頃からトベラの雌株につく実は果皮が3枚に割れて開き、中からたくさんの赤い種子が現れる。