今年は既にハンゲショウが咲いています。花が咲くと、上部の葉の下半の表面がペンキを塗ったように白くなります。そのため、ハンゲショウは遠くから見ると白い花が咲いているように見えます。でも、実際の花は穂状で、あまり目立ちません(画像)。花は長さ10〜15cmの細長い穂を作って多数つき、穂は初め下垂し、後立ち上がります。花は両性で小さく、花弁はありません。
花期に葉が白くなるのは、ハンゲショウが虫媒花であるため、虫を誘う必要からこのように進化したのではないか、と考えられています。花が咲き終わって、夏の盛りの頃になると、白い葉の白い部分は色が落ち、緑色に戻ります。つまり、ハンゲショウもカラーリーフという広義の花を進化させた植物なのです。
ハンゲショウは「半化粧」、「半夏生」と書かれ、「片白草(かたしろぐさ)」などの呼び名があります。夏至から数えて11日目頃(あるいは、その日から5日間)を「半夏生」と呼びますが、その頃に花が咲くことから「半夏生」(はんげしょう)。また、葉の半分(表面のみ)だけが白くなるため「半化粧」とする説もあります。葉が白くなるのは、葉緑体から葉緑素が抜けるためで、この現象が起きるのは茎の先端近くの2~3枚に限られ、それゆえ、生け花の世界では「三白草(サンパクソウ)」と言います。