カンヒザクラの緋色の花

 カンヒザクラ(寒緋桜)はヒカンザクラ(緋寒桜)、タイワンヒザクラ(台湾緋桜)とも呼ばれ、紫にも近い濃紅色で、中輪の花が特徴的な品種です。花の咲き方は半開で、鐘状の下向きで、花びらは散らずに、ツバキの花のように萼(がく)の付いた花ごと落下します。小輪の一重咲きで、花弁は5枚。画像からわかるように花色は鮮烈で、青空の中で存在感を誇示しています。

 カンヒザクラは中国南部や台湾に分布し、国内では沖縄県で気温の関係で育てるのが難しいソメイヨシノに代わり、桜の開花の観測に使われています。有名な桜の品種として知られるエドヒガンは、ヒガンザクラ(彼岸桜)とも呼ばれ、名前は似ていますが、異なる種類の桜です。沖縄ではヒカンザクラ(緋寒桜)とも呼ばれますが、本土のヒガンザクラ(彼岸桜)と混同されるため、カンヒザクラと呼ぶことが多いようです。

 カンヒザクラの開花時期は早く、湾岸地域では既に花が咲いています。花の色はハナズオウ(花蘇芳)の花の色によく似ています(ハナズオウは中国原産のマメ科ジャケツイバラ亜科の落葉低木)。

*「寒緋桜」は俳句では冬の季語として使われます。

  緋寒桜 青空の中 紅の濃く