毎年、この時期になるとチリアヤメの花が待ち遠しく、地面を探すのだが、昨日やっと見つけることができた。画像は今年最初のチリアヤメ。
アヤメ科のチリアヤメは学名からハーベルティアとも呼ばれている。背丈が低く、コンパクトなサイズで、普通のアヤメとは随分印象が異なる。チリアヤメは大正時代に渡来した。花は小さいながらも鮮やかな濃いブルーで、根葉（地上茎の基部についた葉のことで、地中の根から葉が生じているように見える）は細い線のようで芝生に紛れてしまう。花は一日花で、午後には萎んでしまう。
同じアヤメ科のニワゼキショウ（庭石菖）も今あちこちで咲き出している。芝生や草地などに群生し、直径5₋6mm程度の小さな花のため、近眼の私は地面に顔を近づけなければならないし、近づきすぎると老眼でぼやけてしまう。チリアヤメよりずっと小さいのだ。花弁は6枚、花色は白と赤紫（画像）。遺伝的には白が優性、赤紫が劣性。中央部はどちらの花色も黄色。受精すると、花は一日で萎む。日本のニワゼキショウはテキサスを中心に分布する多型的な種で、明治時代に観賞用として輸入された。
私がどれほど感覚を研ぎ澄ませてチリアヤメ、ニワゼキショウを観察しても、観察だけからはアヤメの仲間であることさえわからなかった。これは私が近眼、老眼でなくても変わらなかっただろう。見ることと知ることの間の計り知れない違いに驚いたのを憶えている。
