自来也、蝦蟇仙人、妙香山

 古くから山岳信仰で知られる妙高(香)山には蝦蟇(がま)仙人が住むと言われ、江戸末期の浮世絵師歌川芳艶(うたがわよしつや)は「自来也妙香山の図」で、「越後国頸城郡高田妙香山(えちごのくにくびきぐんたかだみょうこうざん)」で自来也の蝦蟇と黒姫夜叉五郎の蛇が戦っている様子を描き、その中心に蝦蟇仙人の姿を描いています。中国から渡来した蝦蟇仙人は仙素道人と呼ばれ、児雷也に蝦蟇の妖術を授けました。

 歌川芳艶は三枚続きの浮世絵で、右に自来也と刀を持つ美女丸を描き、その下では竹槍を持ったカエルたちが左に向かって突進しています。中央では沢山の蛇と蛙たちが戦っていて、その上に雲に乗った蝦蟇の仙人の姿があります。そして左には黒姫山に住む夜叉五郎という良民を苦しめる山賊の首領が描かれています。蝦蟇仙人の仙素道人に命じられた自来也はあらん限りの妖術をつかって夜叉五郎を討ち取ります。

*「自来也」、「児雷也」は黒姫伝説では「地雷也」と表記されています。

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