ヤツデの花の知恵

 大きな葉が目立つヤツデはウコギ科の常緑低木。ヤツデは日本の固有種で、湾岸地域にもあちこちに植えられ、花の少ない今の時期に花をつけ出しています。

 分厚く光沢のある葉には長い柄と深い裂け目があります。葉の直径は20~40cmと大きく、「天狗の団扇(うちわ)」という別名があります。日陰でもより多くの光を取り入れるため、ヤツデの葉は重ならないように配列されています。「八つ手」と言っても、葉の裂け目は7つ、9つが多く、いずれも奇数で、縁起が悪いと考えられたため、縁起を担いでヤツデ(八つ手)となりました。

  ヤツデの開花時期はちょうど今頃(11月~12月)で、ボールのような散形花序が集まって大きな円錐花序をつくっています。白い花は直径5mmほどの5弁花です。ヤツデの花は花序の一番上から開花してゆきます。そして、花びらを開くとおしべが現れ、これが雄性期です。数日後、花びらとおしべは落ち、次にめしべが熟して雌性期になります。つまり、1つの花が雄性期から雌性期へと変化するのです。このようにおしべとめしべの成熟する時期がずれているのは、同じ花の花粉がめしべに着くことを避けるための工夫です。近親交配をすると性質の劣る子孫ができる可能性が高いからです。

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