ヤマブドウ(山葡萄)の花と実

 日本に野生するブドウの代表がヤマブドウで、巻きひげを伸ばして、他の樹木にからみき、成長すると20mを超える蔓になります。秋に熟す酸っぱい実は生食できるほか、ジャムやジュース、果実酒、ワインの醸造にも使われます。花は小さく目立たないですが、大形の葉は紅葉します。

 ヤマブドウは雌雄異株で、雌株だけが果実をつけます。夏に葉と対生して長さ20センチぐらいの円錐花序を出し、小さい黄緑色の花を多数咲かせます。ヤマブドウと栽培ブドウの違いは、前者が雌雄異株、後者が雌雄同株です。つまり、栽培ブドウは1株植えれば実が生るのですが、ヤマブドウから葡萄酒を造ろうと思うなら、雄株と雌株の両方を植える必要があるのです。つまり、ブドウの栽培品種は雌雄同株で両性花を持ち、自家受粉して結実しますが、ヤマブドウは雌雄異株で1株では結実しないのです。

 ヤマブドウの雄株は開花と同時に花弁が脱落し、雌しべが退化して、雄しべだけの雄花をつけます。一方、雌株は両性花をつけますが、雄しべが雌しべよりも短く、雄機能が低下しているために自家受粉は困難です。ですから、ヤマブドウが結実するには雌雄両株が必要なのです。

*雄株には雄花が、雌株には雌花がつくのが常識です。雄花には雄しべだけがあって、雌しべはありません。一方の雌花では雌しべだけで、雄しべはありません。しかし、雄しべと雌しべの両方を持つ両性花をつけるものもあり、その一例がヤマブドウです。

雄花

両性花