黄葉したイチョウの落葉

 イチョウ(銀杏)は中国原産の裸子植物。昔理科の時間にイチョウを例に裸子植物について習ったことが蘇ってくる。中生代から新生代第三期まで世界中でイチョウの先祖の化石が見つかっているが、100万年ほど前に化石は絶える。10~11世紀頃に中国南部で再発見され、18世紀に再び世界に広まったというのがその数奇な歴史。1科1属1種で仲間はおらず、正に生きている化石。
 街路樹など、どこでも普通に見かけるが、黄葉時の美しさと、剪定に強いという特性から、広く植えられてきた。古い大学のキャンパスや街路樹としてあちこちに大木が残っている。丸ビルの傍のイチョウも今黄葉の真っ盛りである(画像)。

 元来、葉落は生存のための工夫であり、また落ちた葉も生態系の一員として、地面を覆って保湿をしたり、あるいは食べられ、分解されて、堆肥として土壌を豊かにしたり、という役割を担ってきた。だが、生活が都市化すると、堆肥が不要になり、落葉はゴミという邪魔者に変わってしまった。イチョウの実の匂いが嫌われ、落ち葉が油分を含んでいるため滑りやすく、最近は他の樹木に変えられている。

 ところで、イチョウが短時間の間に一斉に落葉することは良く知られている。普通は一日でほぼ全葉が落ちてしまう。落葉は葉柄の基部に離層組織がつくられ、幹から葉への水分や養分の流通が遮断されて、葉が枯れ、脱落すること。つまり、落葉が何時起きるかは、離層が何時できるかによる。イチョウでは離層の形成がほぼ一斉に起きると考えられているが、なぜ一斉に離層がつくられるのか、それはわからない。

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