雌雄異花同株のナンキンハゼ

 ナンキンハゼは雌雄異花同株,つまり、花には雄花と雌花の違いがあり,同じ株に両方が咲きます。さらに、雄花と雌花が咲く順序により,雌花先熟株と雄花先熟株の二つのタイプがあります。一方、既述のイチョウハマヒサカキは雌雄異株異花です。これらの工夫だけでも、動物の性にはない植物の性の奥深い神秘を垣間見ることができます。

 雌性先熟株は,総状花序の下の方に数個の雌花がつき,その上にたくさんの雄花がつきます(画像)。先に雌花が咲き,雌花が咲き終わった頃に,雄花が満開となります。

 雄性先熟株は,穂のようにたくさんついた雄花が先に咲き始めます。雄花が咲き終わって穂から落ちたころになって,穂の付け根のところの小さな穂が伸びます。小さな穂には,付け根の方に数個の雌花,先の方に多数の雄花がついていて,まず雌花が咲き,その後雄花が咲きます。

 雌雄同株は親と同じ遺伝特性を受け継ぎやすいので、安定した環境では子孫を殖やしやすいメリットがあります。でも、子の特性が親そっくりなため、環境が不安定になると親子共倒れになるデメリットがあります。これを避けるには、(既述のイチョウハマヒサカキのように)雌雄異株であれば、他家受精になるので、常に多様な子孫を作ることができ、不安定な環境では有効と思われます。

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