雌雄異花同株の一例:ナンキンハゼ

 ナンキンハゼの紅葉は終わり、既に多くの葉は落葉しています。それでも、白い種がまだ木に僅かに残っているのを見ることができます。ナンキンハゼの紅葉は私の好きな紅葉で、今年も随分と楽しませてもらいました。

 2年前にナンキンハゼが雌雄異花同株であることを記しました。ナンキンハゼの花には雄花と雌花の違いがあり,同じ株に両方の花が咲きます。さらに、雄花と雌花が咲く順序により,雌花先熟と雄花先熟の二つのタイプがあり、既述のようにヤツデは雄花が先熟の例でした。一方、イチョウハマヒサカキは雌雄異株異花です。これらの例だけでも、動物の性にはない植物の性の工夫と奥深い神秘を垣間見ることができます。

 雌雄同株だと親と同じ遺伝特性を受け継ぎやすいので、安定した環境では子孫を殖やしやすいというメリットがあります。でも、子の特性が親そっくりなため、環境が不安定になると親子共倒れになるデメリットがあります。これを避けるには、ヒトを含めた動物のように雌雄異株であれば(つまり、有性生殖であれば)、他家受精になるので、常に多様な子孫を作ることができ、不安定な環境ではより有利になるのです。