先駆種アカメガシワの花

 カシワと同様に、食物をその葉にのせ、新葉が赤いことから、「アカメガシワ(赤芽槲、赤芽柏)」。アカメガシワはどこにでもあるのに、その名前はあまり知られていないようで、私自身子供の頃からよく見てきたのに、その名前を知ったのは最近のことである。アカメガシワは落葉高木で、春にでる若葉は紅色。雌雄異株で、樹高は5 - 10メートルほどに達する。花期は6 - 7月で、枝先に穂になって小さな花を多数つけ、雄花には黄色の葯が目立つ(画像のアカメガシワは珍しく大きく成長していて、花は雄花)。雌花は雄花よりも小さく、花数が少ない。果実は軟針がある三角状偏球形で、多数つく(画像は幼果)。

 ところで、アカメガシワクサギ(雄性先熟)、ナンキンハゼ(雌雄同株で、秋に紅葉)などと共に、草地や崩壊地などの新しくできた空き地に最初に生える「先駆種(パイオニア種)」の一つ。先駆種はどれも成長が早いのだが、樹形がまとまらず、森林の遷移によって消えていく(湾岸地域は埋め立てによる造成地で、そのため先駆種が目立つ)。先駆種は寿命が短く、数十年で枯れるものが多い。先駆種の陰では陰樹として遅れて育つが、成長して林冠を構成しても枯れることがなく、同じ種の世代交代で安定した状態の森林を維持できる種が「極相種」。

f:id:huukyou:20210609043109j:plain

f:id:huukyou:20210609043125j:plain

f:id:huukyou:20210609043142j:plain

f:id:huukyou:20210609043200j:plain