ニホンカナヘビの名前

 湾岸地域の空き地は減ったが、緑地が整備されたためか、歩いているとよく遭遇するのがニホンカナヘビ。その度に子供の頃にヘビやトカゲと出会ったときの気持ちが蘇ってくる。子供の頃はトカゲよりヘビの方がずっと出会う機会が多かったのだが、流石にここではヘビは見ない。ニホンカナヘビは東京都と千葉県でレッドリストの準絶滅危惧相当の指定を受けているようだが、私の周りでは妙に目につくのである。日本の固有種で、鼻先から尾の先端までの全長は16 - 25cm程度。尾は長く、全体の2/3を占める。

 「カナヘビ」は正式には「ニホンカナヘビ」で、カナヘビ科に属する爬虫類で、ヘビではなくトカゲの仲間。小型で茶褐色の体に非常に長い尻尾を持っているが、蛇ではない証拠に手と足がある。ニホントカゲだけでなく、ニホンカナヘビも尾の一部を切り捨てる「自切」ができる。

*方言

 方言は言葉の特徴的な一部か、言葉全体か、いずれなのか。全国どこでも「木」や「雨」は同じでも、生き物は様々に呼ばれてきた。単語以外にも、アクセント、イントネーション、文法、表現法など、言葉には様々な側面があり、それらをすべて含めた一つの地域の言葉全体も「津軽弁」、「河内弁」などと呼ばれ、やはり方言である。ある地域に独特の単語も、一つの地域の言葉全体も方言と呼ばれている。

 「方言」と対比されるのが「共通語」や「標準語」。方言と共通語は本来、どちらかが正しくてどちらかが正しくない、という関係にはないのだが、規範的な日本語からずれた言葉として「方言」が使われることもしばしば。発音を中心に、共通語と違った話しぶりを「訛り」というのも、よく似ている。

 私の記憶では確か「カナチョロ」と呼んでいた。「カナチョロ」は「カナヘビ」の方言で、北海道や福島県茨城県などで呼ばれている。「カネチョロ」は長野県、「カナゲッチョ」は妙高市大鹿という報告もあり、妙高市のホームページでは「カナチョロ」。

 『長野県方言辞典』、『長野県史方言編』などによると、カナヘビを指す呼称は、アオドカゲ、カナエチ、カナエッチョ、カナキッチョ、カナギッチョ、カナケッチョ、カナチョロ、カナヘッチョ、シマトッカゲ、ジモーリ、トカゲ、モグリなどがある。トカゲの呼称も多彩だから、トカゲやカナヘビは独特の存在だったと推測できる。両生類や爬虫類が謎を秘めた存在で、妖怪とも通じる、独特の地位にあったことを示しているのかも知れない。