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行く春や 鳥啼き魚の 目は涙

 名文「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。舟の上に生涯をうかべ馬の口とらえて老をむかふる物は、日々旅にして、旅を栖とす。」で始まるのが「おくのほそ道」。松尾芭蕉河合曾良を伴って旅に出たのは、1689(元禄2)年の5月16日(新暦)で、矢立初めとして詠んだ句である。他の句に比べ、随分と感傷的で、それが花や鳥の擬人化によって表現されている、これが一般的な解釈のようである。

 この擬人化を取り払い、季節を秋に変えると、

行く秋の 紅葉の中や 鳥と魚

鳥は鳥 魚は魚なり 生きている

といった句が浮かんでくる。